2022年百想芸術大賞:ドラマ関連受賞予想!韓国で評価された作品は?

韓国ソウル在住
ブロガーMisa
2022年5月6日(金)に開催予定の、百想(ペクサン)芸術大賞のTV部門・ドラマ作品のノミネートと受賞を予想しながら、この1年の韓国でのドラマの人気について紹介します!

百想芸術大賞とは?

百想(ペクサン)芸術大賞とは、年に1回行われる韓国のエンターテイメントを総合的に表彰する授賞式。韓国のゴールデングローブ賞と呼ばれることもあります。TV部門(ドラマ・芸能・教養)、映画部門、演劇部門と分かれています。

58回目を迎える2022年は5月6日(金)19:45〜開催。昨年に引き続き無観客で開催され、韓国ではJTBCという放送局で生中継があります。

審査対象

2021年4月12日から2022年3月31日までに、地上波・総合編成・ケーブルチャンネル・OTTプラットフォームで提供されたコンテンツ(最低4部作、連作の場合1/3以上進行された作品)。
昨年の候補審査期間にかみあって審査対象から外れた作品は、今年の審査対象に含まれる。
新人賞候補の基準は、作品の中の一定量の主演・助演級で3編以下で、デビュー年とは無関係。

年末には各放送局ごとの「演技大賞」も行われますが、この百想芸術大賞では、すべての放送局の作品+最近ではNetflixなどの動画配信サービスのオリジナル作品まですべてが表彰対象であることがポイント。

そのため「その年、韓国で評価されたドラマは何か?」ということやドラマのトレンドを知ることができます。

ノミネートから見えるもの

百想芸術大賞は、作品としての芸術性で審査されるため、ノミネートされるだけでもハードルが高く、価値のある賞です。

そのため、「視聴率が高かった」「話題・人気だった」という作品とはちょっと違うのがポイントです。

こちらの記事で、「2021年に韓国で人気があった」と私が感じたドラマ10作品を紹介していますが、

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ここからノミネートされている作品は、「赤い袖先(袖先赤いクットン)」「D.P.−脱走兵追跡官−」のみ。(百想の対象期間が4月〜3月のため「怪物」などは昨年ノミネート。時期違いの影響も多少はありますが…)

視聴率がものすごく高くても、芸術性が認められなければノミネートすらされません。

では「芸術性」とは何でしょうか?この点については、公式的な定義はなされていないのですが、私なりにはこのように解釈しています。(作品の場合↓)

前提として、全編を通じての「完成度の高さ」が大事(穴がない、ツッコミどころが少ない)
これまでの作品とは違う何かがある=「新規性」がとても重視される
最近は、作品の社会性やメッセージの深さが重視される傾向
このため、作品のジャンルとしても、これまで最も多く作品が作られてきて差別化が難しく、メッセージが個人の世界に閉じてしまうロマンス作品は受賞しにくく、社会的なメッセージ性を持った作品のほうが受賞しやすい傾向があると思います。

今年の予想の観点

今年の予想のポイントは「『イカゲーム』を百想がどう評価するか?」に尽きるでしょう。
なぜなら、韓国では「イカゲーム」は芸術性の観点で決して国内評価が高くないにも関わらず、世界的にヒットとなり、韓国ドラマ界を大きく変える貢献をしたことは間違いがないからです。
じつは、決して韓国ドラマらしい作品ではない「イカゲーム」。韓国国内での認識は、「世界の人に韓国ドラマを知ってもらうために、キャッチーで観やすくした作品」という感じであり、芸術性という観点では、韓国ドラマを代表する作品とは言えません。

一方で、これだけの貢献があったのに全く賞を与えないわけにもいかない。果たして、百想は「イカゲーム」をどう評価するのか?

あくまで「芸術性」を重視するのが百想なので、「イカゲームが世界的にヒットした=作品賞、大賞でしょ」という簡単な話でもないわけです。
「イカゲーム」にどこまで賞を与えるか?が、他の作品の受賞予想にまで大きく影響してくるので、私はまず「イカゲーム」が何を受賞するか?を考えてから、各賞の予想を行いました。
なお、今回ノミネートされている作品、俳優が出演した作品はすべて視聴済みです。有料の動画配信サービスに加入しないと見られない作品も多く、韓国でも全部見ている人は少数派。
ということで、今年は意地でも当てに行きたいと思います…!

作品賞

*写真左から記載。カッコ内は、韓国/日本放送・配信

「D.P.−脱走兵追跡官−」(Netflix)
「二十五、二十一」(tvN/Netflix)
「イカゲーム」(Netflix)
「赤い袖先」(MBC/KNTV)
「こうなった以上、青瓦台に行く」(Wavve/未配信)
今年もまず、予想は作品賞から。過去には「怪物(2021)」「ストーブリーグ(2020)」 などが受賞し、作品としての完成度・芸術性が最も高いと認められた作品が選ばれます。
まずノミネートを見て驚いたのが、5作品中3作品が動画配信サービス(OTT)のオリジナル作品であるということ!(Wavveは韓国ではNetflixの次に加入者が多い動画配信サービス)
これらは、テレビ放送もなく、有料会員でないと観られない作品です。
昨年の時点で「2022年は、遂にOTTの作品が受賞するはず」と予想していましたが、ノミネート自体がここまでOTT作品で占められるとはびっくり!やはり2021年は「OTTオリジナル作品元年」だったと思います。
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作品の顔ぶれを見てみると、正直「二十五、二十一」がノミネートされたのは驚き。
私も作品としてはハマりましたが、作品賞は完成度の高さが求められるので、最後であれだけの物議を醸したのに、作品賞としてノミネートされたのはちょっと意外でした。(「ソウルドラマアワード」とかなら、受賞しそうですが…)
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どれも間違いなく「面白かった!」という作品ではあるのですが、「百想の作品賞」という観点では、ここはあまり迷いがありませんでした。
受賞予想:「D.P.−脱走兵追跡官−」
視聴後のこちらの記事でも紹介しましたが、
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「D.P.−脱走兵追跡官−」は、演出・脚本・演技の完成度がものすごく高くて、「完成度が高いとはこういう作品だ!」という代表のような作品です。
視聴した時点で、「百想で作品賞か大賞を獲りそう」と思ったのですが、やはり作品賞に最もふさわしい作品として、ノミネート作の中でも突出していると思います。
韓国ではNetflixオリジナル作品史上、最も評価された作品でしょう。軍隊という身近で関心が高いテーマを扱ったからというだけではなく、作品としての完成度の高さが評価されているのです。
なお、今回ここに「D.P.−脱走兵追跡官−」の次に評価されたと言っても過言ではない「未成年裁判」がノミネートされてないのはなぜ?という声が多いのですが(私も激しく同意!!!)、「D.P.−脱走兵追跡官−」は「未成年裁判」にはないエンターテイメント性まであって、演技・演出・脚本の完成度すべてを兼ね備え、メッセージ性とエンタメ性のバランスも絶妙。
百想の好む芸術性って「D.P.−脱走兵追跡官−」のような作品だと理解すると、イメージしやすいんじゃないかと思います。
(ここまで言って、はずしたらどうしようw)
*もし外すとしたら、「D.P.−脱走兵追跡官−」が更に上の”大賞’を受賞するという外し方かな。。
ちなみに、私が大・大・大好きな「赤い袖先(袖先赤いクットン)」は、なぜ受賞しないのか?
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それはやはり、最近の百想の好む「社会性」という観点です。
「赤い袖先」は、個人的には単なるラブストーリーではなく、女性の生き方に焦点を当てたヒューマンドラマだと思っていて、それが韓国でもヒットした理由でもありますが、全体としてみるとやはりロマンス色が強い。
時代劇を新しい視点で描いたという点では新規性はあるのですが、作品賞…というイメージではないのです。

脚本賞

キム・ミンソク(未成年裁判)
ユン・ソンホ、キム・ホンギ、パク・ヌリ、チェ・ソンジン、ガン・ジヒョン(こうなった以上、青瓦台に行く)
ペク・ミギョン(Mine)
イ・ナウン(その年、私たちは)
ファン・ドンヒョク(イカゲーム)

続いて、脚本賞は、脚本家の名前でノミネートされます。(「こうなった以上、青瓦台に行く」「イカゲーム」は監督が脚本も執筆)

最近は、新人作家の活躍が目覚ましいですが、今回もキム・ミンソク(未成年裁判)、イ・ナウン(その年、私たちは)という、長編ドラマデビュー作だった新人作家が2人もノミネートされています。

「その年、私たちは」は、たしかに20代の脚本家らしい新しい感性の脚本だったけど、まさか百想の脚本賞にまでノミネートされるとは…!

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しかしながら、ここも受賞予想でいくと、あまり迷いがありません。

受賞予想:キム・ミンソク(未成年裁判)

「未成年裁判」は、未成年犯罪にまつわる様々な問題を、非常に多角的な視点から描きました。

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一つのテーマに対する掘り下げ方が深く、社会派ドラマのあり方をまた一つ進化させたと感じた作品だったので、ここも受賞はカタいのではないかなと思います。

なお、今回このノミネートを観たときに、私は「今年から百想の受賞のトレンドが変わるんだな」と思いました。
それは、「脚本賞を受賞する作品が、作品賞または大賞を受賞する」というここ数年のトレンドが崩れるということです。

これまでの流れで言えば、作品賞を「D.P.−脱走兵追跡官−」が獲るなら、脚本賞も…となるところなのですが、「D.P.−脱走兵追跡官−」はウェブトゥーン原作です。

この「原作あり」作品の脚本をどう評価するか?というのは、非常に難しいなと思います。

例えば「D.P.−脱走兵追跡官−」の場合は、原作者と監督が脚本を共同執筆しているのですが、小説が原作の「赤い袖先」の場合は、原作者とは異なる脚本家が台本を執筆しています。

一般的には、「赤い袖先」のように原作者とは別の脚本家が台本を執筆することの方が多いので、もし原作作品の「ストーリー展開や、メッセージ性が優れている」と視聴者が感じた場合、それは脚本家を評価するべきなのか、原作を評価すべきなのか…というのは、なかなか難しい問題でしょう。

今回、オリジナル脚本である「未成年裁判」が、作品賞にもノミネートされて、脚本賞と作品賞を両方受賞という展開もありえましたが、ノミネートがこのように分かれた時点で、今年は4年ぶりに脚本賞と作品賞(*)を別の作品が受賞すると予想します。(*2020年は「椿の花咲く頃」が最高の「大賞」と「脚本賞」を受賞)

OTT時代=原作ありドラマの時代でもあるので、大きなトレンドで見ても、今後は今までの受賞傾向とは異なる形になっていくでしょう。

また「こうなった以上、青瓦台に行く」のように、共同執筆が増えてきているというのも、ここ最近のトレンドかなと思います。

脚本の制作体制の変化や、新人がどんどん活躍できる環境については、初著書でも紹介↓

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演出賞

ユン・ソンホ(こうなった以上、青瓦台に行く)
イ・ナジョン(Mine)
チョン・ジイン(赤い袖先)
ハン・ジュニ(D.P.−脱走兵追跡官−)
ファン・ドンヒョク(イカゲーム)
続いては、演出賞。ここも監督個人がノミネートされます。
いや〜、まずこの顔ぶれが本当に、韓国ドラマのトレンドを表していますよね!!
イ・ナジョン(Mine)、チョン・ジイン(赤い袖先)という女性監督の活躍。そして、ハン・ジュニ(D.P.−脱走兵追跡官−)、ファン・ドンヒョク(イカゲーム)は映画監督であり、ユン・ソンホ(こうなった以上、青瓦台に行く)は、独立映画とウェブドラマをメインで手掛けてきた方で長編ドラマは初です。
2021年には、もちろん過去にヒットドラマを手掛けたような実績のある監督の作品もありました。しかし、こうして、ドラマ監督としては新しい顔ぶれがノミネートされているのが、韓国ドラマが「作品が良ければ、キャリアに関係なく評価される」世界であることをよく表しています。
しかしながら、ここの受賞予想は、今回一番難しい…!
巷では、ここは「イカゲーム」と予想する声が結構多いようなのですが、私の中では「イカゲーム」は演出より美術や構成が優れていたという印象。
「演出が優れていた」という観点でいうと、「こうなった以上、青瓦台に行く」「赤い袖先」のどちらかかなと思うのです。
「こうなった以上、青瓦台に行く」は、政治ブラック・コメディでとにかく演出が斬新。
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今回、作品・脚本・演出全てにノミネートされていますが、賞を獲る可能性があるとしたらやはり「演出」ではないかと思います。
一方、「赤い袖先」は、演出がとても緻密で美しかった…!
時代劇ならではの魅力を引き出しながらも新鮮な演出が印象的で、「まだまだ時代劇でも、こんな新鮮な描き方ができるんだ」と感じさせた作品でした。
”斬新さ”でいうと、「こうなった以上、青瓦台に行く」が本当に印象的ではあったものの、まだ百想で賞を獲る…というほどではない感じがする(この作品はあくまで、今回は「ノミネートされただけでも高く評価された」という扱いかなと)ので、今回の予想は…

受賞予想:チョン・ジイン(赤い袖先)

としておきます。「赤い袖先」は、大好きな作品だったのですが、その魅力は「大衆的」なのか「芸術的」なのか?については、判断が難しく、とても悩みました。

でもやはり、何が凄かったか?と言われると、演出と演技だったと思うので、演出賞を獲ると予想しておきたいと思います。

しかし、去年も演出賞は外したので、いまいち「百想の評価する演出とは何か?」が掴みきれてない部分もあり、ここは一番自信がありません(笑)

芸術賞

クォン・テウン(覆面歌王、シンガーゲイン2、風流大将、スーパーバンド:音楽)
キム・ハヨン(赤い袖先:撮影)
オム・ヨンシク、キム・ダヒ(ユミの細胞たち:アニメーション)
チョン・ジェイル(イカゲーム:音楽)
チェ・ギョンソン(イカゲーム:美術)

続いて、芸術賞。ここではTV部門の芸能、教養番組も含まれるため、ドラマ以外の作品の良し悪しは、さすがににわかりませんが…

受賞予想:チェ・ギョンソン(イカゲーム:美術)

と予想します。

そもそも、Netflixの数ある作品の中で、世界中の利用者の人たちに「なんだこれ」と、作品が目にとまったのも「イカゲーム」の圧倒的なビジュアルインパクトが、功を奏したことは間違いありません。(しかもこちらも、美術担当者は女性の方だったんですね〜!)

個人的には、「ユミの細胞たち」のアニメーションもとても斬新で大好きだったので、受賞してほしい気持ちはありますが…

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やはり「イカゲーム」において、美術で賞をあげないわけにはいかないのでは?と思います。

TV部門大賞

さて、作品賞、脚本賞、演出賞を予想したところで、演技関連の賞に行く前に「TV部門大賞」を予想しておきたいと思います。

「TV部門大賞」というのは、TV部門に含まれるドラマ、芸能、教養番組すべての中での大賞を選ぶものであり、必ずしもドラマが選ばれるとは限りません。

また「大賞ノミネート」というのがあるわけではなく、各賞でノミネートされている作品の中から、作品だけではなく、俳優、監督、脚本家個人が選ばれることもあるため、非常に予測が難しい賞でもあります。

昨年は、芸能番組の名司会者であるユ・ジェソクが個人で受賞しました。

例年だと、大賞は予想に含めないところなのですが、今年は大賞に言及しないと他の賞の予想理由が説明できない部分もあるため、「TV部門大賞」まで予想しておきたいと思います。

ここまで読んでいただいた方は、私が、”今年の予想のポイントは「『イカゲーム』を百想がどう評価するか?」に尽きる”と言いながら、各賞で「イカゲーム」にはあまり言及していないのが気になったかもしれません(笑)

その理由は、私が「イカゲーム」のファン・ドンヒョク監督が個人として大賞を受賞する、と予想するからです。

受賞予想:ファン・ドンヒョク(「イカゲーム」)

「イカゲーム」が何が優れていたのか?を考えたときに、頭の中に浮かぶのは、やはり先ほど予想した「美術」。そして何より、ファン・ドンヒョク監督の「戦略」だと思います。

最初に紹介した通り、「イカゲーム」は、作品として演出、脚本、演技が「韓国ドラマらしい凄み」を表していたか?というとそうではありません。しかし何よりすごいのは、ファン・ドンヒョク監督が、世界を狙って意図的にあのような作りにしたということです。

ファン・ドンヒョク監督は、映画「トガニ」のような、社会を動かした深い作品も作れる監督なので、もっと韓国視聴者が好むような深い描き方もできたでしょう。

しかし、世界に通用するためには「シンプルであること」が大事だとして、深めすぎることよりも、普遍的な部分を強調する描き方をした点が秀逸でした。

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最後まで観れば、素晴らしい感動が待っている韓国ドラマですが、なかなか観たことない人にとっては1話を見る、最後まで見続けることのハードルが高い。

「イカゲーム」は、そんなこれまでの韓国ドラマの視聴ハードルを見事に取り払った作品で、そういう意味では「なるほど、こういうやり方があったのか!」と唸らされたし、「世界の視聴者を開拓してくれて、ありがとう!」と感謝したい作品でした。

なので、「イカゲーム」は、作品賞、脚本賞、演出賞どれかを受賞するよりも、監督個人に賞をあげるほうが、納得感があるのです。

新人演技賞(女性)

キム・へジュン(調査官ク・ギョンイ)
イ・ヨン(未成年裁判)
イ・ユミ(今、私たちの学校は)
チョン・ホヨン(イカゲーム)
チョ・イヒョン(今、私たちの学校は)

さて、ここからは演技関連の賞を予想します。まず、一番最初に発表される、女性新人演技賞から。

昨年は、「人間レッスン」のパク・ジュヒョンが受賞。

やはり、主役級で活躍した俳優が賞を獲る事が多いため、他の候補者と比べると作品の中で分量が少なかった、イ・ヨン「未成年裁判」、イ・ユミ「今、私たちの学校は」あたりは、受賞は難しいと思われます。
「調査官ク・ギョンイ」のキム・へジュンも、凄く難しい役を熱演したとは思いますが、私の予想は…
受賞予想:チョン・ホヨン(イカゲーム)
としておきます。やはり「イカゲーム」の中で、下手したら主役たちよりも注目を集め、海外の演技賞も受賞しているチョン・ホヨンが受賞するのではないかと思います。(全米映画俳優組合(SAG)賞で女優賞を受賞)
オーバーすぎず、自然体でリアルな演技は、まさかデビュー作とは思えないほどの安定感で、今後も幅広い役をこなせそうなセンスを感じました。(そういう意味では、イ・ヨンも同じような印象でした)

新人演技賞(男性)

ク・ギョファン(D.P.−脱走兵追跡官−)
シン・スンホ(D.P.−脱走兵追跡官−)
ユ・インス(今、私たちの学校は)
チェ・ヒョンウク(二十五、二十一)
タン・ジュンサン(ラケット少年団)

次は、男性新人演技賞。昨年は、「18アゲイン」のイ・ドヒョンが受賞しました。

チェ・ヒョンウクと、タン・ジュンサンという「ラケット少年団」コンビが、両方ノミネートされてるのは嬉しいですね…!この2人も応援したいところではありますが、ここはやはり…

受賞予想:ク・ギョファン(D.P.−脱走兵追跡官−)

が固いのではないかなと思います。

韓国では、2021年、ク・ギョファンが最も旬な俳優だった、と言っても過言ではありません。

大ヒット映画「モガディッシュ」でも存在感を見せ、視聴者がク・ギョファンにハマったのはもちろん、映画の授賞式などの雰囲気を見ても、業界でもク・ギョファンフィーバーはすごかったのです。

そのため、このノミネートの中でも別格という感じ。(ドラマだとまだ「新人」扱いなんだ…というのが驚きでしたが)
なお今回、ク・ギョファンは「モガディッシュ」で、映画部門の助演賞にもノミネートされています。

助演賞(女性)

カン・マルグム(39歳)
キム・シンロク(地獄が呼んでいる)
キム・ジュリョン(イカゲーム)
オク・ジャヨン(Mine)
チャン・ヘジン(赤い袖先)

続いて、助演賞(女性)。昨年は、「悪霊狩猟団カウンターズ」のヨム・ヘランが受賞。

毎年、甲乙つけがたくて、演技関連の賞の中では、一番予想が難しいのが助演賞。今年こそは当てたい…(笑)

しかし、今回

受賞予想:キム・シンロク(地獄が呼んでいる)

は、結構カタいのではないかと思います…!
やはり他と比べても、キム・シンロクの「地獄が呼んでいる」のあの役には、「演技の凄み」を感じました。

個人的には、「赤い袖先」のチャン・ヘジンの涙の演技にも大変感動したのですが、ここはキム・シンロクと予想しておきます。

ちなみに、助演の俳優の場合、ノミネートされている作品以外にも、たくさんヒット作に出演しているというのが特徴です。特に2021年は、カン・マルグム、キム・シンロク、チャン・ヘジンはいろんなドラマで観ましたね〜!

助演賞(男性)

イ・ドクファ(赤い袖先)
イ・ハクジュ(こうなった以上、青瓦台に行く)
イ・ヒョンウク(Mine)
チョ・ヒョンチョル(D.P.−脱走兵追跡官−)
ホ・ソンテ(イカゲーム)

続いて、助演賞(男性)。昨年は、「サイコだけど大丈夫」のオ・ジョンセが受賞。(2020年「椿の花咲く頃」に続いて2年連続!)

いや〜、今年もここの予想は難しいのですが…

受賞予想:イ・ドクファ(赤い袖先)

と予想しておきます。ドクファ先生の英祖の演技は、本当に凄かった…!(「社内お見合い」とは全く違う迫力があります。)

今回「赤い袖先」は、助演男女、主演男女どちらにもキャストがノミネートされているくらい、役者の演技も素晴らしかった作品ですが、中でもやはりイ・ドクファとジュノの祖父・孫の演技は、非常に難しい関係の設定の二人だったこともあり、本当に見ごたえがあるものでした…!

ジュノの演技が素晴らしかったのも、やはり大先輩であるドクファ先生の演技が、引き出した部分も大きかったのではと思います。

ただ、百想という意味では、チョ・ヒョンチョルの「D.P.−脱走兵追跡官−」の演技も好まれそうなので、そこはちょっと悩んだところではありますが、純粋に自分が感動した感覚を信じて、ドクファ先生と予想しておきます!

最優秀演技賞(女性)

キム・テリ(二十五、二十一)
キム・ヘス(未成年裁判)
パク・ウンビン(恋慕)
イ・セヨン(赤い袖先)
ハン・ソヒ(マイネーム:偽りと復讐)
続いていよいよ、最優秀演技賞(女性)。昨年は「ペントハウス」のキム・ソヨンが受賞しました。
今年は一層、ノミネートに若手女優の比率が高まった気がしますね…!(右3人が20代。でもハン・ソヒが一番年下とは思えない大人っぽさ…!
日本では「二十五、二十一」のキム・テリを予想・希望する声が多いのですが、ここは迷わず…
受賞予想:キム・ヘス(未成年裁判)
と予想します!ここは、韓国でも圧倒的にキム・ヘスと予想する人が多いです。
「最優秀演技賞」ともなると、まず「いや〜、あの演技はすごすぎ!」とため息が出るような神演技であること。
そして、その俳優の作品歴の中でも、代表作と言われるぐらいのキャラクターを演じたことが重要なポイントとなります。
そういう意味では、やはり、キム・ヘス姐さんのあの演技は圧巻だったでしょう…!
未成年犯罪に対する確固たる信念を持ちながら、奥底には少年・少女たちに対する深い愛情もある…複雑なキャラクターであるシム判事をキム・ヘスがあの迫力で演じたからこそ、「未成年裁判」は名作になったと思います。
逆に「二十五、二十一」のキム・テリは、キャラクターとのシンクロ度という意味では凄かったし、彼女以上にヒド役を魅力的に演じられる俳優は思いつきませんが、百想で好まれるような”演技の凄み”があったとは言えないのかなと。(それはそもそも、キャラクター自体がそういう演技を見せやすい設定ではないことが大きいですが)
また、キム・テリが俳優として素晴らしい演技力を持っているからこそ、「二十五、二十一」が演技という意味で代表作か?と言われると、そこもちょっと疑問が残るのです。

多分、今後、別の作品でキム・テリは必ず最優秀演技賞を受賞すると思いますが、今回はキム・ヘス姐さんに1票!です。

なお、キム・テリは視聴者投票で男女一人ずつ選ばれる「人気賞」を受賞すると思われます…!

「二十五、二十一」オンラインロケ地巡り開催!申込み受付中↓

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最優秀演技賞(男性)

キム・ナムギル(悪の心を読む者たち)
イ・ジョンジェ(イカゲーム)
イ・ジュノ(赤い袖先)
イム・シワン(トレイサー)
チョン・ヘイン(D.P.−脱走兵追跡官−)

最後に、最優秀演技賞(男性)。昨年は「怪物」のシン・ハギュンが受賞しました。

今回、ずーっと私の頭の中を悩ませていたのが、この最優秀演技賞(男性)の予想。

まず、イ・ジョンジェとジュノの一騎打ちであることは間違いないのですが、個人的に賞を獲ってほしいジュノと予想するか、可能性が高そうなイ・ジョンジェと予想するか…ここ数週間ずっと、私を悩ませていたこの2択(笑)

ジュノは、単に「アイドル出身として初の受賞を実現してほしい」という希望が強いだけではなく、実際演技としても「うわ〜これはすごい演技だ!!」と唸らされたぐらいの凄みを感じたので、本来であればそのまま受賞予想するところなのですが、かといって「イカゲーム」のイ・ジョンジェに何も賞をあげないのも気になるところ…。

迷いに迷いましたが、ここは、

受賞予想:イ・ジョンジェ(イカゲーム)

としたいと思います。

これはちょっと、変な理由ですが、もしジュノと予想してハズレた場合、ジュノが獲れなかったことに加えて、予想を外したことのダブルで悲しくなってしまうので、予想はイ・ジョンジェにしておこう、と決めました(笑)

なので、ここは当たったら嬉しいし、外しても更に嬉しい予想です。

イ・ジョンジェは、「イカゲーム」が演技として代表作か?と言われると、もっと他の作品のほうがふさわしい気はするものの、これまでにないダメダメキャラクターでイメージ変身を図ったこと。そして、あれだけの過去に類を見ない成果を出した作品を引っ張ったという意味で、賞を受けるのではないかと思います。

逆に、この顔ぶれの中で、もしジュノが受賞したら本当にあっぱれ!!!!

「悪の心を読む者たち」のキム・ナムギルも素晴らしかったのですが、本当に演技派の俳優だけに、もっと別の作品でそのうち受賞するのではないかと思います。(この作品では、年末の「演技大賞」で賞を受けることでしょう)

なお、ジュノは視聴者投票で男女一人ずつ選ばれる「人気賞」を受賞すると思われます…!

あの作品はなぜ入らない?

さて、予想は以上なのですが、最後にノミネートに入らなかった作品についても、少し触れておきたいと思います。

じつは、私が普段「これは面白い!」と絶賛している作品の中にも、「これは人気・話題になるだろう」という「大衆性」のある作品と、「これは作品としてのクオリティが高い!」と思う「芸術性」のある作品、二つのタイプの作品が混在しています。

そのため、今回私が選ぶ昨年のベスト10の中から「ユミの細胞たち」「酒飲み都会の女たち」「海街チャチャチャ」などがノミネートされないのは、ある程度予想がつきました。(芸術性というより、大衆性のある作品のため)

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でも、「賢い医師生活」がシーズン1に続き、シーズン2でも作品関連、俳優関連がほとんどノミネートされないのだけは謎というか、悲しいのが正直なところ(笑)

シン監督の作品では、過去に「恋のスケッチ〜応答せよ1988〜」が演出賞を受賞した以外は、じつは百想にあまり縁がないんですよね。。

「賢い医師生活」については、2年連続でNetflix年間ランキング1位という圧倒的人気を誇り、韓国の視聴者からも「作品性が高い」と評価されることが多いので、ここまで縁がないのは、よほどシン監督自身がこういう賞を嫌い?仲悪いの?とか、妄想してしまいます(笑)

韓国人のドラマオタクの友人に言わせると、「でもどちらかというと、大衆性が高い作品」ということなのですが…ここだけはちょっと納得がいかない部分ではあります。。

ただ、作品自体があくまで、強いメッセージを意図的に伝えようというスタイルというよりも、ナチュラルなスタイルで共感を呼ぶタイプの作品なので、視聴者には非常に愛される作品ではあるものの、百想が評価する凄み・新規性みたいなものとはちょっと距離があるのかもしれません。(最近は、逆に迫力のある作品も多いので、そちらのほうが高い評価になってしまう)

でも、「賢い医師生活」は私たちの中でもう殿堂入りなので、良いのだ〜!という気持ちです(笑)

「賢い医師生活」特集掲載↓

当日のスケジュール・中継について

5月6日(金)当日のスケジュールについては、この様になっています。

18:10〜19:10 レッドカーペット
19:45〜22:55 授賞式
21:00〜 バックステージ特別コンテンツ
今年も、すべてTikTokで独占世界生中継されます…!(ただし字幕はなし)
*独占ということなので、おそらく日本のCSなどでの中継はなし。

生中継を観たい方は、あらかじめTikTokのアプリをダウンロードした上で、アカウント登録し、百想のアカウントをフォローしておくことをおすすめします。

フォローはこちらのページ(英語版)「Follow BAA account」から。(人気投票はすでに締め切り済み)

最後に

ということで、2022年の百想芸術大賞のTV部門・ドラマ作品の予想をご紹介しました!

2020年に予想を初めた頃は、まだ日本でも百想芸術大賞の存在自体があまり知られていなかったし、そもそもノミネート作が日本では観られない作品も多かったのですが、年々日本でも注目度が上がり、日本で事前に観られる作品も増えてきました。

そのため、最初は気軽な気持ちでやっていた予想も、年々、心理的負担が増しています(笑)

しかし、すべての作品を視聴済みの予想3年目のドラマオタクとしては、今年はなんとかたくさん当てたい!

「何目線だよ!」という予想・分析ではありますが(笑)、これまでの知識を総動員して予想してみました。全部は当たらなくても去年よりはたくさん当たると良いな…!

2020年:9部門予想→5部門的中(55%)
2021年:9部門予想→4部門的中(44%)
2022年:11部門予想→?部門的中(?%)

みなさんも、それぞれ予想してみると面白いと思います。

なお、当日はtwitterで速報ツイートをする予定なので、結果が気になる方はフォローしていただければと思います。(リアルタイムで結果速報&コメントなどをつぶやきます)

昨年の速報の様子

また、すべての受賞結果は、後日ブログで整理してお伝えする予定です。当日が楽しみです…!

初著書の予約受付中です!(百想過去10年間の作品関連賞の受賞結果も掲載してます)

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