【映画レビュー】「玆山魚譜(チャサンオボ)」百想ノミネートの名作!/あらすじ・キャスト・韓国評価

韓国ソウル在住
ブロガーMisa
韓国で2021年3月31日に公開され、百想芸術大賞で5部門ノミネートされた白黒映画「玆山魚譜(チャサンオボ)」について、実際に映画館で見た私が、あらすじ・キャスト・韓国評価をネタバレ無しで紹介します。

映画「玆山魚譜(チャサンオボ)」とは?

韓国で2021年3月31日に公開された「玆山魚譜(チャサンオボ)」全編白黒の映画です。

正直、時代物かつ白黒ということで、完全ノーマークだった映画。ただ、公開わずか2週間で、先日2021年の百想芸術大賞の5部門にノミネートされたのを観て、観に行ってきました!

2021年百想芸術大賞映画部門
玆山魚譜(チャサンオボ)ノミネート
作品賞
監督賞
脚本賞
美術賞
最優秀演技賞(ピョン・ヨハン、ソル・ギョング)
何も前情報なしに観たのですが、良い映画でした〜〜〜〜!!!最近、見た映画の中でダントツの名作。

そう、観終わってからあの「金子文子と朴烈」のイ・ジュンイク監督の作品ということを知って納得…!

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そして実は、観終わってだいぶたってから気がついたのですが、「この俳優の演技好きだな〜」と思って観ていた主役を演じたピョン・ヨハン(ポスター下段)って…

「ミセン」のソンニュル役を演じた彼じゃないですか〜><


*出典:미생 公式サイト(tvN/HP)

いや〜当時、カン・ハヌルのチャン・ベッキ役に負けないぐらい印象的で、気になっていた俳優さんでした。「ミスター・サンシャイン」などにも出演していましたが、主役級は初めて観たかも。

この映画の演技が素晴らしくて、先ほど紹介したように2021年の百想芸術大賞では、共演した大ベテランのソル・ギョングや、「音もなく」のユ・アインとともに最優秀演技賞にノミネートされています!(嬉しい!)

しかし、この映画、とっても渋い(笑)

なんてったって「200年前に海の生物についての本をまとめる話」。実際に存在したと言われる海洋生物百科事典をモチーフにした話です。映像は白黒で、小さな島が舞台なので、派手な衣装やセットも一切出てきません。

でも、観終わった後に深い余韻と感動が残る作品。

200年も前の話なのに、今の時代にも通じる生き方、学ぶことの意味を教えてくれるメッセージ性があります。

朝鮮時代の言葉&なまりに加え、漢詩も結構出てくるので、外国人が韓国語で見るには難易度MAXで、隅々まで味わえたとは言えないのですが

史実を元に、その時代の状況をリアルに描く部分とフィクションを、絶妙なバランスで織り交ぜながら、伝えようとするものがじんわりと心に響いてくるようなセリフ、演出が素晴らしくて、韓国映画らしい名作をまた一つ見つけたという感じがしました。

実は同じ日に映画館で観た「徐福(서복)」とは、制作費や俳優の豪華さも描き方も真逆だったのですが、

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個人的にはこの「玆山魚譜(チャサンオボ)」のほうが好みでした。

派手なテーマでもなく、スター俳優が出ているわけでもないので、日本で劇場公開するには、シブすぎて集客が苦戦しそうですが、でも韓国映画好きの方が観に行って満足する映画になると思います。

今日は、この映画の魅力について、ネタバレ無し(予告編の範囲の内容)で紹介していきたいと思います。

「玆山魚譜(チャサンオボ)」あらすじ・キャスト

舞台は、朝鮮後期、純祖王の時代(1801年頃)。それまで王から信頼を得ていた実学者のチョン・ヤクジョンですが、王の死後、兄弟たちとともに迫害を受け島流しにあってしまいます。

演じるソル・キョングは、主に映画で活躍する俳優さんですが、意外にも時代物は初めてとのこと。

学識のある人物ですが、黒山島という小さな島で生活をすることになります。

島で、ヤクジョンを住まわせて世話をするカゴタク役は、「パラサイト」にも出演したイ・ジョンウンさん。

どんな状況下でも、知識を得ること、学ぶことへの意欲が衰えないヤクジョン。

そして、ある日海の生物に詳しい若者、チャンデに出会います。

実は、学問にも深い関心があるチャンデは、貴重な書物を手に入れては独学しています。

学ぶことができる人が限られていた時代に、多くの人の人の生活に役に立つ知識こそを、本にして知らしめるべきだと考えていたヤクジョンとチャンデの交流が始まっていきます。

私の知っている知識と、あなたの魚の知識を交換しよう

年齢も身分も考え方も違う二人が、それぞれの分野で”師匠”になり、また相手の得意分野では”弟子”となりながら、交流していく姿が描かれていきます。

なお、この作品、助演陣にはドラマでおなじみの俳優さんも多いです。イ・ジュンイク監督の作品ということで、多くの俳優たちが友情出演したと言われています。

まず、名作映画に欠かせないチョ・ウジン(観たばかりの「서복」にも出てたのでまた登場してびっくりw)

ドラマで「主人公の友達」といえばこの人、カン・ギヨンも出演。

また、チャンデと仲の良いポンレ役には、こちらも女性主人公の友達役が多いミン・ドフィ。(「私のIDはカンナム美人」など)

その他にも、こちらのポスターを見ていただくと、どれだけの俳優が友情出演したかがわかると思います。皆さんそれぞれ、「あ〜!あの人だ〜〜」という俳優さんが何人かいるはずです。

そして、小さな島の二人の交流から始まる物語は、最終的にその時代の社会の構造をも描き、今の時代にも通じる生き方についてのメッセージも込められていて、

観終わった頃には、深い感動と余韻が残ります。

空、海、海の生き物たち、島の人達の様子が白黒ならではの美しさで描かれていて、

このポスターが表現しているような、水墨画的な美しさがあるのです。

そういう意味では、映画館の大スクリーンで見ることをおすすめしたい映画です。

「玆山魚譜(チャサンオボ)」を楽しむ背景知識

「玆山魚譜(チャサンオボ)」という作品を楽しむにあたって、事前に知っておくと参考になる背景知識を2点だけお伝えしておきましょう。

まず1点目は、モチーフとなった「玆山魚譜(チャサンオボ)」という書物について。

これは、実在した書物であることはお伝えしましたが、チョン・ヤクジョンという人物が島流しにあった島で執筆したこと、島に住んでいたチャンデという若者の助けを借りたことなどは、すべてほんの序盤に書かれている事実なのだそう。

貧しい島の人達の生活を目の当たりにし、「少しでも生活の役に立つ情報を整理しよう」と考えたヤクジョン。

これまでの書物と違い、海洋生物について単に紹介するだけではなく、「いつとれる魚なのか?」「どうやって料理するのか?」といった、生活で使える具体的な知識までまとめた点が特徴的だといいます。

また、本の中で行われた魚の分類が、その後の海洋生物の研究にも大きな影響を与えただけではなく、その内容は、料理、医学、国語など、様々な分野でも研究材料として使われた非常に影響力の大きい本です。

しかしながら、実は、本には一切絵がなく、島の人達が理解するに難しい漢字で全て書かれていたそうで、本を複製しやすくするためなのか、学者の限界だったのか…そんなことも考えはじめると興味深いです。

そして、2つ目は時代背景。1801年、純祖王というのは、「イ・サン」で描かれた正祖の息子の時代。日本では江戸時代の後期の頃。

これまで、儒教や朱子学を基盤に政治が行われていたところに、西洋から自然科学、キリスト教など新しい思想が入ってきはじめていた時代。特に、天主教(カトリック)が広がり始めていたタイミングです。

ヤクジョンたち兄弟も、西学に関心が高く、その中でも特にヤクジョンは熱心に勉強していたといいます。

天主教(カトリック)では、「人はみな平等なのである」という当時としては革新的な思想が、民衆たちにも支持を得はじめていましたが、それを危険な思想と考えた特権階級の人たちは、大体的な弾圧を加えます。

そのような時代に、ヤクジョンが当時としては先進的な考えを持っていた人物であったことを踏まえて映画を見ると、より理解が深まるのではないかと思います。

「玆山魚譜(チャサンオボ)」俳優・監督インタビュー

続いて、「玆山魚譜(チャサンオボ)」のピョン・ヨハン、ソル・ギョング、イ・ジュンイク監督へのインタビューの中から、いくつか興味深かった内容を紹介しましょう。

ソル・ギョングさん、こうやって見ると映画と違って若々しい…!(笑)

二人をキャスティングした理由について、イ・ジュンイク監督は、このように話しています。

ソル・ギョングは過去に「ソウォン(願い)」という映画で一緒に撮影したときの良い記憶が残っていた。ピョン・ヨハンは実は、初めは頭に浮かんでなかったのだが、ソル・ギョングに「ピョン・ヨハンはどうですか?」と言われて、「なんで思いつかなかったんだろう!」と思ってすぐに連絡した。
なお、ピョン・ヨハンは、
今回の撮影を通じて、演技的にも人間的にも大きな気付きがあり、生まれ変わったような気分だ。もう以前の僕ではありません(笑)
と話しており、ターニングポイントとなるような重要な作品になったようです。
また、イ・ジュンイク監督は「トンジュ(邦題:空と風と星の詩人~尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯)」と今回の「玆山魚譜(チャサンオボ)」の違いは何か…?という質問に対して、
「トンジュ」は白より黒が多く、その時代の重たい空気感を表している。それに対して、実は「玆山魚譜(チャサンオボ)」は黒より白が多い。そして、私達がよく知っている大自然が美しく描かれているため、白黒だけどカラーに見えてくる。
と回答。これは本当にそのとおりで、ぜひスクリーンでこの点を確かめてみてください。

「玆山魚譜(チャサンオボ)」韓国での評判

「玆山魚譜(チャサンオボ)」の韓国での評価について、NAVERでの評価を紹介しておきます。

観客評価:9.12 点/10点
動員数:31万人(公開3週目目時点)
観客評価は、9点を超えれば高評価、8点台が平均、7点以下だと低めという感じ。
ということで、韓国国内でも高い評価を得ている作品と言えます。
韓国視聴者の声
ピョン・ヨハンの演技が特に良い!昔も今もどちらにも通じる人の生き方の話
俳優の演技がとても良い。そして現代人にこのような話を伝えようとする着眼点もよい。全てを美しく描いた監督も尊敬。
エンディングクレジットの最後まで見ること!是非、映画館で観てほしい
どのコメントもめちゃくちゃ共感!!!
そうそう、クレジットが出た後の、最後のワンカットまで素晴らしいので、ぜひ見逃さずに観てほしいです。
ということで、百想芸術大賞でも、複数の賞を受賞するのではないか?と期待しています。

「玆山魚譜(チャサンオボ)」日本公開についての情報

「玆山魚譜(チャサンオボ)」の日本公開についての情報は、現時点ではありません。

先に書いたとおり、劇場公開するにはちょっとシブすぎるかな〜と思いますが、イ・ジュンイク監督の作品ということで、せめてミニシアターあたりでは公開しないかなと期待しています。

しかしこれ、邦題が難しいですね〜。英語タイトルは「The Book of Fish」と、味気ない感じなんですが(笑)これを日本語に訳すのも変だし、カタカナにするも変だし。。

「玆山魚譜」と漢字の雰囲気を活かしながら、サブタイトルが付くパターンかな?と予想します。

日本の配給会社の担当者の方、ぜひ、変なフォントや加工をしないで、この水墨画のような雰囲気を生かしたポスターをお願いします(笑)

公開日についての情報をキャッチしたら、こちらでも追記したいと思います!

まとめ

ということで、「玆山魚譜(チャサンオボ)」のあらすじ・キャスト・韓国での評価・日本公開情報などについて紹介しました!

特に韓国映画好きの方は、是非、映画館で観ていただきたい名作です。

자산어보(玆山魚譜:チャサンオボ)
・邦題:未定/英題:The Book of Fish
・韓国公開日:2021年3月31日
・上映時間:126分
・日本公開:未定
・監督:イ・ジュンイク
*映画の画像はすべてNEVERからお借りしました。

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