【映画レビュー】イ・ビョンホン主演「南山の部長たち」あらすじと感想

こんにちは、ソウル在住ブロガーMisaです。韓国で1月22日からイ・ビョンホン主演の「남산의 부장들(南山の部長たち)」が公開になりました。旧正月の映画としては、現在一番人気です。早速、映画館で観てきましたので、ご紹介します。

あらすじ概要

この映画は、1979年に実際に起こった朴正煕大統領(朴槿恵大統領の父)暗殺事件を扱ったもの。

大統領の側近であった中央情報部長(イ・ビョンホン)が、暗殺事件を起こすまでの40日間のストーリーを実話をベースにした作品です。登場人物の名前は、実際の人物と異なっていますが、実在した人物たちが登場します。

映画はまず、その事件当日、大統領と側近たちの宴の場で、銃声が鳴り響くところからスタートします。そして話は40日前、アメリカで前中央情報部長が、朴政権の不正を告発した時点まで戻ります。

この時点では、あくまで大統領に最も近い存在だった中央情報部長が、なぜ40日後に暗殺をするに至ったのか…?

その様子が描かれていきます。

みどころ

この映画は、史実をベースにしたものであり、最初から結末が見えているものなので、ストーリーに引き込まれていく、というタイプの映画ではありません。

逆に、40日の間で発生する日々の出来事や、会話の積み重ねの中で、どうやって側近が、ボスを暗殺しようと決断するに至ったのか?という、感情の揺れ動きを、役者の細かな演技力で表現するところが最大の見どころ。

特に、イ・ビョンホン演じる中央情報部長については、揺れ動く感情や自分の考えを、具体的に言葉にして表現することがほとんどなく、

表情や無言の演技だけで表現する部分が多いため、改めてイ・ビョンホンの演技力の凄さを確認することができます。

また、実は同じぐらい凄かったのが、朴大統領役のイ・ソンミンさん。ドラマ「ミセン」のオ課長役が印象的だった演技派俳優さん。

ポスターでも後ろ姿で、写真もアップのものがほとんどないのですが、

実際の朴正煕大統領の話し方や、口癖をかなり忠実に再現したと思われる演技は、イ・ビョンホン演じる中央情報部長が暗殺を決断するにいたる経緯にリアリティを持たせるのに十分な役割を果たしていました。

↓イ・ソンミン出演のこの映画かなりオススメ(2018年公開作)

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2018年/ドラマ「ミセン」のイ・ソンミン主演

なお、朴正煕と中央情報部長は古くからの付き合いが長く、「2人の時は、日本語で会話をすることもあった」というエピソードがあり、冒頭のほうには、そういったシーンも登場します。

18年にわたる軍事独裁政権の末期であり、いつ自分が降ろされるかわからないという危機感を感じさせる、イ・ソンミンさんの迫力のある演技と、イ・ビョンホンの苦悩の演技、鬼気迫る演技同士のぶつかり合いが最大の見どころです!

現代史を知るきっかけ

この事件は韓国人ならだれでも知っている話ということで、映画を通じて、新しい事実が語られる、ということでもなく、事件が起こるまでの過程を丁寧に描いたもの。

ただ、外国人という立場で見ると、また一つ韓国現代史の出来事に興味を持つきっかけとなりました。

朴正煕の暗殺により、終わったと思った軍事政権ですが、結局、軍の全斗煥(チョン・ドゥファン)が実権を握り、翌年に映画「タクシー運転手」で描かれた光州事件が起こっていく。

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2017年韓国公開/ソン・ガンホ主演、ユ・ヘジン出演

↓映画でも、朴正煕政権時の全斗煥が登場します。(実物に寄せてる…!笑)

そして、その光州事件をきっかけに、映画「1987」で描かれた民主化運動が高まっていく、という流れになるわけです。

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2017年韓国公開/ハ・ジョンウ、ユ・ヘジン出演

映画「1987、ある闘いの真実」のレビュー↓

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この時代の一連の流れが、どれも素晴らしい役者と脚本家で映画化されているというのが凄い…!

「タクシー運転手」「1987」がそうであったようにこの映画も、実際の事件の映像が流れるエピローグが印象的です。イ・ビョンホンが演じた人物の実際の写真・肉声が流れ、この事件についてもっと調べてみたくなる余韻を残します。

早速調べてみたところ、「暗殺事件の背後には、アメリカの関与があったのではないか?」という説も強く、そのあたりを踏まえて観ると、映画の解釈により深みが増します。

韓国映画好き必見!ユリイカ:韓国映画特集(2020年5月)

韓国での評価

韓国での評価について、NAVERの評価を紹介しておきます。

・観客評価:8.52点/10点
・ネチズン評価:7.40点/10点
・評論家・記者評価:6.90点/10点
・動員数:322万人(公開約5日間)
旧正月連休前の公開だったということもありますが、公開5日でこの動員数はなかなかの勢いです。初速としては、大ヒットした「ベテラン」と同じぐらいのペースで、「1987」よりも速いペースとのこと。
評価の点数としては、決して高くありませんが、悪くもないという標準的な数字。
テーマ自体が、韓国人になじみの深いもので、これだけのキャストのため「これは見ておこう」と、観に行った人が多かったようです。
レビューコメントとしては、やはり俳優の演技を絶賛する声が多く、特にイ・ビョンホンについては「イ・ビョンホンの演技の最高峰!」というようなコメントが多く見られました。
確かに今年の映画祭などで、イ・ビョンホンの演技は、賞を受賞しそうな予感がします。
↓イ・ビョンホンは、少し前まで映画「白頭山」でも名演技を見せていました。
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なお、脇役も演技派の俳優さんぞろいなのですが、同じく朴大統領の側近の重要な役柄を演じる、こちらのイ・ヒジュンさんも役作りのために25Kg増量したんだとか…!

↓予告編(韓国語)で映画の雰囲気を感じてみてください。

個人的な感想

※ここからは、あくまで個人的な感想です。辛口なので、観たくない方は飛ばしてください。

「タクシー運転手」「1987」のような、実際に起きた歴史的な出来事を扱った映画が好きな私ですが、この2作と比べると、扱っている事件の経緯がシンプルなものなので、映画を観た衝撃度・感動の度合いとしては、この2作ほどではなかったというのが正直なところ。

あらかじめわかっている結末に向かって、淡々と話が進んでいく過程で、役者の演技を楽しむという作品であり、特に外国人には、よほど歴史好き、役者好きでなければ、万人受けする作品ではないかもしれません。ただ、イ・ビョンホンファン、歴史好きな方は、見てみる価値あり。

ということで、オススメ度はこちらです。

オススメ度:★★★☆☆(3点/5点)

日本公開予定について

現時点で、「남산의 부장들(南山の部長たち)」の日本公開予定については、情報がありませんが、おそらく日本でも公開されることは間違いないでしょう。「タクシー運転手」「1987」などを上映した、シネマートさんで上映するのではないかと思います。

英題が「The Man Standing Next」なので、日本公開時の邦題も、現在のタイトルとは異なるタイトルとなり、加えて「大統領暗殺事件の話である」ということがわかるようなサブタイトルが付くのではないかな~と予想します。

日本公開がいつか?についての情報をキャッチしましたら、こちらでもご紹介します。

10/23追記:2021年1月の日本公開が決定しました。やはり、シネマートさんなどで上映。邦題は「KCIA 南山の部長たち」となりました。*KCIAは「大韓民国中央情報部」の略称

まとめ

ということで、映画「남산의 부장들(南山の部長たち)」の見どころなどをご紹介しました。日本公開は間違いないと思うので、現代史好きの方は是非観に行ってみてくださいね。

『남산의 부장들(南山の部長たち)』(邦題:未定/英題:The Man Standing Next

・韓国公開日:2020年1月22日
・上映時間:114分
・日本公開:未定

※画像はすべてNAVERからお借りしました。

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