「賢い医師生活2」8話をさらに深く:字幕の狭間解説・演出意図を考察

韓国在住K-dramaライターMisa
「賢い医師生活2」8話を視聴済みの方にむけて、日本語字幕では伝わらないニュアンスの解説や演出意図を考察します!

「賢い医師生活2」では、細かい部分まで意味をもたせた演出、セリフや、日本語字幕では伝わりきれない小ネタなどが満載!

シーズン1に引き続き、韓国視聴者の間で話題になったことなどを参考にしながら、作品をさらに深く楽しむための私なりの解説・考察を行っていきます。
※完全ネタバレありなので、視聴済みの方が対象の記事です※

「賢い医師生活2」7話に関する記事はこちら

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「賢い医師生活2」8話のテーマ

「賢い医師生活2」8話は、いつもに比べて尺が30分ほど長い、1時間50分の大作!特に親世代の患者を中心とした様々な”選択”と、その家族たちの葛藤が描かれました。

そして、「賢い医師生活」シリーズ全体を通したメッセージ性がもっとも濃く現れていた象徴的な回だったと思います。

「人生って儚いものですね」
「たった一本の電話で180度変わるのが人生よ」
「毎日を人生で一番輝く瞬間(花様年華)にして」
明日はどうなるかわからないのが人生。未来のために今を犠牲にしたり、過去を引きずるのではなく、今を最高に輝く瞬間にしよう。
この「花様年華(화양연화)」という言葉は、韓国の作品ではよく登場する言葉です。韓国でも人気のウォン・カーウァイ監督の映画のタイトルでもあり、BTSの楽曲のコンセプトになったり、同名のドラマなどもあります。
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どんなにドラマチックな展開よりも、どこにでも居そうな普通の人たちの一人ひとりの人生が最もユニークで、人の心を揺さぶるという信念で温かいドラマを作り続けているイ・ウジョン作家とシン・ウォンホ監督のコンビ。
8話はまさに、そんな制作陣のメッセージと、らしさが詰まった神回だったと思います。
スペシャル放送の際に、チョン・ギョンホが「今まで俳優人生で読んだ台本の中で最も最高だった。99ズみんなでこの台本の素晴らしさについて語り合った」と話していたのは、この8話だったのでは…?と感じました。
ということで、今回も8話の内容を振り返ってみたいと思います!

親世代の患者の選択

戻ってきたあの家族と鏡の演出

8話では、見覚えのあるあの家族が再びユルジェ病院で手術を受けることになります。

3話で、イクジュンの患者として、息子から父親へ肝移植を行った家族。実はこの家族、3話の時から何かがある感じがして気になっていたのですが、やっぱり再登場しました。

というのも、3話でイクジュンから診察を受けているシーンで、途中でわざと、鏡に映って反転しているカットを挟み込む演出があったんですよね。

見ていて、一瞬、左右が逆になったので「あれ?」と思い、よく見たら鏡だったのですが、わざわざこのカットを入れ込むことに何か意図があるのでは…?と思ったのです。

賢い医師生活シーズン2全体を通じて、99ズたちの部屋や診察室には鏡があることが多く、同じように鏡に映る様子を映し出すカットが、度々挟み込まれています。

例えば、1話でソンファがイクジュンの告白を断るシーンでも、画面全体ではないのですが、わざわざ画面の中に鏡に映るソンファを入れ込んでいます。

これは明らかにシン監督の意図的な演出であり、何かを示すサインのようなものだとフカヨミしているのですが、告白を断るシーンと、今回の家族のシーンの共通点を考えてみると…

鏡に映っている人物に、その後、何か”変化(反転)”が起きる
→特に、そのときの状況とは反対の状況になる…?

ということのサインなのかもしれないな〜と思っています。

77歳の脳手術

続いてソンファの患者として登場したこの家族。77歳の脳腫瘍の患者です。

この息子さん、またまた「秘密の森2」に登場したジョン・スンギルさん。先日の警備員役のキム・ボムスさんの上司役だった人です。

いつも登場すると、何かを企んでいたり、一癖あるキャラクターが多いため、今回も母親の手術に賛成しない姿を見て、思わず「もしや母親の生命保険を期待している…??」などとフカヨミした韓国視聴者も多かったようです。(私も「絶対なんか企んでるな」と思ってしまいました 笑)

しかし、そこはやはり、本当の”悪党(ピルラン)”は登場しないのが賢医。

身近な友人の死をきっかけに、明日どうなるかもわからない人生の儚さを感じた息子。

人生は実にむなしいものですね なぜ生きてるのか どう生きるべきかわかりません

このセリフのために演技力のあるジョン・スンギルをキャスティングしたんだろうなと思うぐらい、印象的なシーンでした。

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ロサとジョンス

さて8話では、ジョンウォンの母・ロサ、そして親友であるジョンスとの関係についても、語らずにはいられません。

ロサの手帳

遂に家の暗証番号を忘れてしまい「認知症ではないか?」と思って不安な一夜を過ごすロサ。ここで、机の上に置かれた手帳とペンが映り込みます。そこには、家の暗証番号と、家族の誕生日が書かれています。

これ、「元々手帳に暗証番号がメモしてあったので家に入れた」という説明なのか、「今後忘れないために、メモした」という演出なのか、どちらなのでしょうか。

私は、わざわざペンまで一緒に置いてあること、そして誕生日の部分だけ、今のロサの動揺を表すように、少し字が斜めに上がっていて筆圧が違う感じに見えるので、「暗証番号は元々書いてあったけど、今回さらに忘れないように、誕生日も追記した」という演出かなと思いました。

そして、書いてある誕生日の内容。

名前ではなく

一番大きな子(=長男)の誕生日
二番目
三番目
四番目
末っ子
アン会長の命日

という書き方が、韓国らしいですね。最後には、ジョンウォンの父、アン会長の命日も書かれています。

思わず長男の誕生日は、演じたソン・ドンイルさんのリアルな誕生日と一致させてる?と思って調べてみましたが違いました(笑)

そして、末っ子=ジョンウォンの誕生日は8月20日ということが判明。なんか、後からこの情報が伏線になるかもしれません。

ジョンスの献身

これまでも、ロサと仲良く食事をしたり、歩いたり、庭いじりをしたりしていたロサの60年来のベストフレンド、チュ・ジョンス理事。自身も病気で妻を亡くし、今は子どもたちとも離れて暮らしています。

前回から、心配していたロサの病気は、認知症やパーキンソン病ではなく、治療が可能な水頭症でした。

このロサの病気が描かれる中で、ジョンスのロサへの献身ぶりも印象的でした。

いつもロサの家を訪れて、楽しそうに過ごす様子が登場しますが、ユルジェグループの理事ということは、車も運転手が運転し、スケジュールも秘書が管理するほど忙しいはず。

そんなジョンスが、仕事の予定をキャンセルして、ソウルから車で1時間以上かかる楊平(ヤンピョン)にあるロサの家まで駆けつけたり、付添人のようにロサの荷物をまとめたりする姿。

そして、息子のジョンウォンも、そんなジョンスの存在をありがたく思い、家族のように頼りにしています。

多くを口では表現しないけど、行動で示す優しさ。

相手に負担にならないように、適度な距離で必要なサポートを言われる前にさっとやってのけるジョンスの姿は、ソンファに対するイクジュンの姿にも重なりますね。

イクジュンとソンファの関係と重ねるように描かれることの多いこの二人ですが、シーズン2では、イクソンカップルの関係の変化に合わせて、この二人の関係にも何か変化があるのでしょうか?

ロサのピアノシーン

そして何と言っても、感動的だったバンドシーンでのロサのピアノ演奏…!

メイキングでは、キム・ヘスクさんがキム・デミョンと同じピアノの先生に指導を受けながら、撮影にのぞむ様子が収められています。

演奏が終わった後、ジョンウォンと抱き合う様子は、リアルにキム・ヘスクさんがこの演奏のために準備した緊張感と、やりきった感動が現れていたこともわかりますね。

今年65歳になるベテランのキム・ヘスクさんですが、毎回好評を得ている99ズのバンドシーンに、キーボードが重要な曲でいきなり参加するのには、相当の緊張があり、おそらくかなり練習をしたのではないかと思います。

楽譜をめくる感じとかが、本当にピアノをやってた人だな〜という感じがしましたが、キム・ヘスクさんは、2013年に出演したバラエティ番組で「俳優になるかピアニストになるか?」を考えたことがあると明かし、その実力を披露したこともあります。(当時57歳)

*ちなみに、この番組のMCは、今「君は私の春」でダジョンの母役を演じているオ・ヒョンギョンさんですね〜〜

ちなみに、ドラマではミナの元に駆けつけて居なかったソッキョンですが、バンドシーンの撮影現場にはデミョンさんが見守っていました。

「もし写り込んでもCGで消しやすいように緑のTシャツなんだぜ」と言いながら、「ロサ様 キーボード最高!」と書いた紙を見せながら応援するデミョン氏。

そして、ジョンスのようにヘスクさんのキーボードを称賛しながら「ソッキョン、お前のキーボードのポジションが危ういぞ」とず〜っと喋ってるジョンス役のキム・カプスさんの様子まで、本当に笑いの耐えない楽しい撮影だったことが伝わってきました。

ギョウルとジョンウォン

7話で、プロポーズの計画が失敗してしまったジョンウォン。

冒頭の、家でジュンワンとビールを飲むシーンで「別になにもない」と答えるジョンウォンですが、これは5話でジュンワンがイクスンと別れて一人でビールを飲むシーンで「何もないよ」とジョンウォンに答えるシーンと重なります。

女性目線では「大学時代からの友人で一緒に住んでても話さないの!?」と思ってしまいますが、男性の友達同士ってこんな感じなんだろうな〜と思います。

ギョウルのサプライズ

仕事をしながらも、ギョウルとなかなか連絡が取れないことを心配するジョンウォン。

そんなタイミングで、ロサの病室を訪れたギョウルのサプライズは、びっくりしましたね〜!

このシーン、何よりキム・ヘスクさんの「オモナ〜〜〜〜!!!」という反応が可愛すぎて、何度も見返してしまいました。

「国民の母」と呼ばれるお母さん役でおなじみの女優さんの中でも、この少女のような可愛らしさがキム・ヘスクさんの魅力でしょう。

「ジョンウォンじゃなくて、私に会いに来たのよね?」とジョンウォンをバシバシ叩きながら喜ぶ様子は、愛する息子と、その息子が愛する人を大事に思う素敵な母、そしてお嫁さんにとっては理想の姑だな〜と思いました。(ソッキョン母と足して割りたい 笑)

このシーンでは、ギョウルが登場した瞬間、7話で解説したユ・ヨンソクバージョンの「네에게(To You)」で、「美しい”冬”の空と〜」と原曲の歌詞からアレンジされた部分が流れていましたね。

ジョンウォンは嬉しい反面、若干複雑な表情でもありました。

骨折するほどのケガってどういうこと??何だか深刻なのにはなにかある?

ギョウルのサポートをしてあげたいのに、状況が見えず、何となくモヤモヤした状態のままでの、ギョウルの突然の登場。

ジョンウォンも、ギョウルが何かをずっと隠していることは気がついている様子。

「何かあったら全部話してほしい」と伝えたうえで、何度も尋ねても話さないのであれば、あとはギョウルが自分から話すのを待つしかありません。

9話の予告ではギョウルがやっと「今度 すべて話します」と言っているようですが…変な溝ができないうちに、早めに打ち明けてほしいなと思います。

ソンファとイクジュン

ソンファの衝撃

認知症またはパーキンソン病だと思われたロサが水頭症。しかし、逆にただの健康心配性だと思われたソンファの母がまさかのパーキンソン病。

いや〜、伏線っぽく見せておいて、視聴者の予想とはあえて違う展開を持ってくるこの感じ、さすがイ・ウジョン作家です!何気ないキャンプシーンでのソンファ母についての会話も、ここに繋げるためのものだったわけですね。

今回、ソンファもジョンウォンも「毎日患者の診断をしているのに、よりによっていちばん大事な家族の病気に気がつけなかった」ということに、とても衝撃を受け、落ち込む様子が描かれています。

医師の先生方のレビューによると、これは本当によくあることで、医師にとって一番落ち込む瞬間なんだそう。

ソンファのお母さんも、先輩医師によると「会った瞬間にわかった」ということでしたが、そもそも病院に寝泊まりすることも多く、離れて生活する家族に会う時間がとれない先生たち。

今回、ソンファは特に、母親がほかでもない、自分の専門分野である脳の病気だったこと。一度でも会っていれば、もっと早く気がつけたことなどから、自分を責め、後悔する気持ちで一杯だったに違いありません。

イクジュンは、キャンプの時の話も含め、そんなソンファの気持ちが痛いほど理解できたことでしょう。

真っ暗な自分の部屋で落ち込んでいるソンファに、イクジュンが声をかけるシーンは「賢い医師生活」シリーズの中でも記憶に残る名シーンだったと思います。

ここの二人のやり取りについては、少し日本語字幕を補足したい部分があります。

ソンファ「母がパーキンソン病なの」
イクジュン「家に行けば?」
ソンファ「うん 今から行く」
イクジュン「送ろうか?」
ソンファ「お願い」

ここは、ソンファを誰よりも心配して、何でもしてあげたい気持ちで一杯でありながらも、ソンファの意思を最大限に尊重する=友人としての線を守ろうとする、イクジュンの複雑な感情が表現されている絶妙なセリフだったと思います。

その点において、「家に行けば?」という日本語字幕はかなり違和感ありました。

ここは、直訳すると、

家に行かなきゃいけないんじゃないのか?
なので、「あくまでソンファの意思を確認している」という点がポイント。
だから、その後のセリフも「送るよ」ではなく「送ろうか?」なのが秀逸なのです。
「今すぐ実家に向かえよ!俺が連れてくよ!」と言いたい気持ちを抑えて、まずはソンファの意思を尊重するイクジュン。
これは、「自分がやってあげたいことではなく、ソンファが望むものをそっと差し出すという」イクジュンなりの愛情表現の特徴でもありますよね。
万が一、明日の朝の都合などで、ソンファが今すぐ実家に行きたくても行けない状況である可能性も考慮して「行けよ」ではなく「行かなきゃいけないと思うけど、行けそうか?」という状況確認の意味でもあったでしょう。
そう考えると、「行けば?」は元のニュアンスが生かされていないのと、何だか急に他人事のような言い方にも感じられ違和感があります。
おそらく、文字数制限で短くせざるを得なかったんだろうな〜と思いながらも、あくまでソンファの意思を確認しているというニュアンスを残して、せめて「実家に行くのか?」とかだったら良かったのでは?と思います。
そして、「送ろうか?」というイクジュンに対するソンファの答え。

いつもは「大丈夫」「自分でできる」というソンファが、涙目で

그래 줘라=そうして お願い

と、初めてイクジュンに寄りかかった瞬間。きっと相手がイクジュンだから寄りかかれたのでしょう。
ミドさんの演技も素晴らしく、胸が締め付けられました…。
ここで、辛そうにするソンファをあくまで”線を守りながら”見守るだけのイクジュン。
いつも冗談を言いながら、肩を抱いたりしていたことを考えると、”友人として”ここでそっとソンファを抱きしめてあげても、おかしくはなかったと思いますが、ソンファに対する愛情が深いからこそ「あくまで線を超えずに、ソンファが求めるものだけを」と思って耐えたイクジュンの葛藤が表現されていたシーンだったと思います。

イクジュンの愛情

いつでも、今、ソンファに必要なもの、望むものをそっと提供するイクジュンは、その後も、ソンファの知らないところで、そっとソンファのために尽くします。
ソンファの部屋の前の”門番”になって、ソンファの休息を邪魔するものを全て自分が巻き取るイクジュン。
これは、病院中に知り合いが居て、何でも代わりにやれちゃう万能なイクジュンだからできること。
この時は、ソンファはそんな門番が居てくれたことは知りませんが、間違いなくその後、ユンボクあたりから、この日のイクジュンの門番について聞くことになり、きっとイクジュンの愛情を感じるに違いありません。
その後、ようやくソンファの部屋の電気がつき、ソンファが何かを食べようと冷蔵庫を開けたたタイミングで、ドアをノックするイクジュン。
このとき、手にマジックで書いた文章からも、ソンファへの気遣いが感じられます。
もしかして、ちょっとだけ時間大丈夫?
 そして、まさかの焼き肉の鉄板のプレゼント!韓国のAmazonことクーパンで探したら、10万ウォン(約1万円)ぐらいで本当に似たようなものが売ってました(笑)
綺麗な花束でもなく、アクセサリーでもなく、豪華な食事でもなく、今、ソンファのテンションを一番上げられるものが、あの鉄板であることをわかっていたイクジュン。
先ほどの、ソンファの部屋のシーンにしても、このプレゼントのシーンにしても、抱きしめてキュンとしたり、女性が一般的に喜びそうなプレゼントをするといったあるあるの展開ではなく、「このキャラクターなら実際どうするだろう?」という視点で、リアルで深みのある名場面を生み出すイ・ウジョン作家の台本の素晴らしさに、ため息が出ました。
ここまで、ソンファが一度断った告白をもう一度受け入れるまでの過程と、その間のイクジュンの葛藤を、丁寧に丁寧に描いているので、私達も焦らずに、ソンファが自分の本当の想いをイクジュンに伝えるまで、ゆっくり見守りたいと思います。

「賢い医師生活1」キャストインタビューが満載!

ミナとソッキョン

そして8話でついに大きな進展を見せた、ミナとソッキョンのコンゴンカップル!

ホンドのアイスとジンクス

二人の話の前に、ミナとソッキョンそれぞれに関する面白シーンも振り返ってみます。

ホンドがアペタイザー(前菜)に、と皆に買ってきたアイス。

ホンドのおごりとは知らず、美味しそうに食べはじめたミナ先生ですが、「後輩が買ってきたものを食べるとその日は患者がぞろぞろ…」というジンクスを話し始めると、急にホラーな雰囲気に(笑)

この時、ミナが慌てて「口座番号教えて!」と言っていますが、これはもしかしたら、日本の皆さんはちょっと違和感感じた方もいるかもしれません。

日本では、友達や同僚同士で口座番号を聞くことってほとんどありませんよね。私も、韓国に住み始めた頃は、慣れなかったのですが、韓国ではこの「口座番号教えて!」というのは頻繁に発生します。

理由は、韓国ではほとんど現金を持ち歩かないのと、持っていたとしても端数をあわせたりするのがめんどくさい。

そして、みんなスマホですぐに入金できるのが普通なので、例えばお昼を一緒に食べに行って、誰かがまとめて払った、というぐらいの状況でも、口座番号を聞いて後から入金、というのが普通に発生します。

なので、ホンドにとっても、口座番号を教えるのは特別なことではなく、日常的に友達にも共有しているはずの情報なのですが、あまりにも慌ててしまい、出てこなかったんですね。

ちなみに、このシーンで話題になった「患者がぞろぞろやってくるジンクス」については、いちばん有名なのは、そもそもミナ先生のように「今日はなんか暇だね〜」と話してしまうこと。

過去に見た医療ドラマ(確か「浪漫ドクターキム・サブ」)でも、何も知らない若手の先生が「今日はなんだか患者さんが少ないですね〜」と話してしまい、ベテランの看護師さんたちが慌てるというシーンがあった気がします。

これは、この賢医のシーンをYouTubeでレビューしたお医者さんたちも話していて、そもそもホンドのアイスの話に行く前のミナのセリフが「ああ…ダメ…それ言っちゃだめよ…」という感じでした(笑)

ソッキョンの珍しいギャグ

イクジュンとソッキョンが、トッポッキを食べながら、ジュンワンをからかうシーンでは、珍しくソッキョンのギャグも見られましたね。

ここでの会話の内容は、私も実はハリー・ポッターを見ていないので、完全にジュンワンと同じく目が点でした(特に韓国語だと何の話してるのか全然わからなかった 汗)。

「あの映画を見ていないやつが居るか?」→はい、私です(笑)

しかし、ここで「新人ボーイバンドだよ」と言って、突然BTSのIDOLが流れ、ノリノリでマネ?をするソッキョンとイクジュンにはウケましたね(笑)

ジュンワンをからかうときも光る22年のチームワーク

制作発表会のインタビューで、娘の影響で最近、BTSに関心が高いというシン監督。(スペシャル放送で、「グローバルな楽曲が登場する」という99ズの話しぶりからは、今後のバンド曲でBTSの曲が登場するのでは…?と密かに期待しています)

5話では、ソッキョンがジュンワンの「秋の童話」のモノマネを理解していませんでしたが、今回はソッキョンがジュンワンをからかう展開に(そして、どんなネタでもオールマイティーなイクジュン!)

ちなみにこのシーンの後半でも、実は最初に説明した「鏡の演出」が登場しています。

トッポッキを食べ終わって、「午後の外来が始まる」「ジョンウォンのおごりなら絶対(焼肉食べに)行く」と言ってソッキョンが立ち上がったところで、ソッキョンの姿が鏡に映っています。そして、うがいから顔を上げるイクジュンも鏡ごしに映ります。

これももしかして、ソッキョンとイクジュンに、その後なにか”反転”が起こるということ…?

流石にフカヨミしきれませんが、数カ月後は、ジョンウォンが肉をおごると言っても「俺は約束あるから〜」と、それぞれソンファとミナに会いに行く二人になっていますように…(お願い!)

ミナとぬいぐるみ

そして予告編でも登場していた、ミナがぬいぐるみに話しかけるシーン。自宅かと思いきや、病院の当直室だったんですね(笑)

そしてこのくまのぬいぐるみは、1話の「病院前のステーキハウス」にて、一人寂しく二人分を食べるミナを見つめていた、あのくまさん!

「告白の機会がまだ1回残ってるじゃない!」と、ポジティブな言葉で自分を勇気づけるだけかと思いきや、一人何役もしながらくまさんと「ミナ劇場」を繰り広げるミナ先生(さすが、ミュージカル俳優!笑)

後輩のユニ先生が入って来て、「最低でも、3人以上の声はしたんですが…」というセリフには笑ってしまいました。

どんな感じで2〜4回めの告白が断られたのか?は、描かれなさそうですが、5回目こそはきっとうまくいくはず。

ミナ先生、5回目の告白をする日は是非、涙袋メイクではなく、せめてパク・ボヨン風の‎春ウォームトーンメイクで!(笑)

ミナの実家と雪岳山

そして今のところ、その5回目の告白の舞台になる可能性が高いのが、99ズが5月の初めに計画している雪岳山への旅行。

7話のレビューで、ミナの実家が雪岳山の麓で民宿をしている話が韓国視聴者の間で話題と紹介しましたが、まさにその展開を予想させるような演出が8話にはありましたね!

ミナ先生が「TMIですが…」と、自分の実家が雪岳山の入り口でペンションをやっていることを、銀行の人やソンビンに説明しています。

TMIとはこのブログでも何度か説明しましたが、Too much informationの略で、「多すぎる情報=どうでもよい細かすぎる情報」という感じで韓国のバラエティでよく使われる造語です。

同時に、99ズが焼肉屋で雪岳山に行く計画を話すシーンもあったことで、雪岳山でミナとソッキョンが会う、というのはほぼ間違いがなさそうです!

一つ心配なのは、実質的にユルジェ病院を支えている99ズが同時に休みを取れるのか?ということ(笑)

食事をしていても、バンドをしていても、すぐケータイに電話がかかってきて誰かが抜けなければならない状況になる99ズが、果たして一緒に遠出ができるのか??

そして、ソッキョンに加えてミナまで同じタイミングで休みを取れるのか…?

しかし、そこはインターンのホンドと、最近全然登場しないミナ先生の同期のミョン先生に、これまでの分働いてもらいましょう!!(笑)

ミナの涙の理由

さて、8話では、遂にコンゴンカップルの未来が明るいことを確信できるシーンがありました。

バンドの集まりの前に、家で掃除機をかけているソッキョン。通知音でスマホを手に取り、何かを確認しますが、再び掃除に戻ります。いつものような呼び出しの連絡であれば、すぐに病院に向かうはずなので、呼び出しではない様子。

しかし、間もなくして、慌てた感じでイクジュンに電話をして「病院で急ぎの用が出来た」と、バンドにも参加できないことを伝えるソッキョン。

これは、ホンドの珍しくナイスなミスで、最初のスマホの通知で、ミナが胃けいれんになって倒れたことを知り、「大丈夫かな…」と思いながら掃除を続けましたが、やはり心配になり家を飛び出したという細かい演出。

そもそも「バンドをやろう!」という提案の言い出しっぺであり、誰よりも毎回のバンド演奏を楽しみにしているソッキョン。

しかもこの日は、キーボードが重要な曲ということで、沢山準備をしていたに違いありません。

そんなソッキョンが、母親以外のことで、バンド参加をキャンセルしてまで駆けつけるというのは、それだけソッキョンにとってミナが大事な人であることを表しています。

病院でミナが横たわっているシーンは、シーズン1の6話でギョウルが倒れたシーンとリンクします。

あのシーンでミナがギョウルに言っていた

好きだったら、来るはずでしょ?

が、まさにミナ自身の恋愛において、現実になったわけです。

個人的にはここで、ギョウルがミナのことを「オンニ」と呼んでいたのにもキュンとしました。

考えてみたら、ミナのほうが年上。彼氏にも”先生”と呼んでしまうギョウル先生が、”ミナ先生”ではなく、オンニと呼ぶのは、二人がとても親しいことを表現していますね。

そして、ソッキョンが幻覚ではないことを知り、まさに「うわあああ〜〜〜ん」という感じで泣くミナ先生が本当に愛おしかった!

ちなみにメイキング映像で、このシーンのミナ先生の涙の本当の理由が明かされました。

始めは、ソッキョンに見つめられて、泣こうとしても思わず笑いが出てしまうミナ。

ちなみにここで、アン・ウンジンが、デミョンさんを「オッパ」と呼んでいること。

そしてドラマではソッキョンが枕をポンポンするだけでしたが「いやいや、うまく出来てるよ〜」と励ましながら、デミョンさんがアン・ウンジンの頭と枕の位置を調整してあげる姿にもキュン!

監督に「IUみたいに泣かなきゃ〜」と言われながら、だんだん思う通りに泣けない自分が悔しいミナは、本当の涙が出てきて号泣状態に。

ミナを見守っていた、監督、ソッキョン、ギョウルは「その瞬間を逃すまい!」と、そのまま撮影を再開し、あの名シーンが誕生!

というわけで、実はミナ先生のあの涙は、アン・ウンジンの「悔し涙」によって生まれたものだったんですね。

ここで、ソッキョンの枕ぽんぽんは、さすが、キャラクターの特徴を的確に捉えたシン監督ならではの神演出だと思いました。

イクスンとジュンワン

チョン・ギョンホソロ曲?

8話の冒頭から、ロサの寝室のシーンあたりまで流れていたの曲は、どう考えてもチョン・ギョンホの声でしたよね?こちらは、1982年に산울림という歌手が発表した回想(회상)という曲。

リメイク版が、2016年のドラマ「シグナル」のOSTにも使われています。

歌詞は、タイトルの通り、去ってしまった相手を”回想”する内容になっています。
「どうして自分から離れるのかと聞かなかったけど、胸がすごく痛かった」という歌詞があり、イクスンから突然別れを告げられて、じっくり話もできなかったジュンワンの状況と重なるような歌詞です。
チョ・ジョンソク、キム・デミョン、ユ・ヨンソクに続き、チョン・ギョンホのソロ曲として発表されるのかな…?期待したいと思います。

イクスンとイクジュンの会話

一方のイクスン。8話の冒頭から、イクスンが訓練のため、イクジュンの家に頻繁にやってきている様子が描かれます。

ウジュと3人で食事しているシーンでは、ゆで卵の割り方が、ジュンワンと同じなイクスン(シーズン1の6話参照)。

この割り方は「愛の不時着」で、セリもやっていたので、特別にジュンワンだけのユニークなものではありませんが、とは言え、みんながみんなこの割り方はしません(笑)

そして、イクジュンが「無理するな」というあたりからのイクジュンとイクスンの会話は、軍隊風の言い方になっているところが面白いです。(〜지 말입니다)

無理やり日本語にすると、「〜のである」というような感じでしょうか。

そして、「私のおならは国の最高機密だ。敵の攻撃に対し化学兵器で…」というイクスンに「おい いつの時代のコントだ」と言っている部分は、実は

おい「ショービデオジジョッキー」のときのコントかよ

と言っていたので、思わず調べてしまいました(笑)

ショービデオジョッキー(쇼 비디오 자키)は、 1987年から1991年まで放送されたバラエティ番組ということで、ちょうど日本で言う「オレたちひょうきん族(1981〜1989)」みたいな感じだろうと思います。

そして、更に別の日。焼肉屋帰りのイクジュンと、リビングでスマホをいじっているイクスン。

ここでは、懐かしの「ホン大尉」が登場しました。

シーズン1の9話で、ジュンワンと一緒にカフェに居たイクスンに「何してるの?」と親しげなコメントを送ってイクスンが「ただの後輩よ」と説明するシーンで初登場。

その後、10話では、ホン大尉も所属している”私はコスだ”の会にジュンワンも遊びに行くことに。

今回の会話でもイクジュンが一瞬勘違いしているように、当時ジュンワンも、コス=高段者(格闘技などの段を持ってる人)と勘違いしてビビっていましたが、実は、食べる方の”コス”=パクチー。

ここで、ジュンワンがホン大尉からもらったパクチーの鉢植えが、シーズン2の前半までジュンワンの病院のデスクの上にあった鉢植えですね。

未だに唯一、連絡をとっているのがホン大尉というイクスンは、「コスの会にまた参加して」というホン大尉とメールをやりとりした後、一瞬スマホを置いてウジュの寝顔を見に行きます。

この時、イクジュンが偶然見てしまったイクスンのスマホの画面は…?

落ちそうなスマホを拾った瞬間に、何かに気がついて「あっ…」という表情をしているのを見ると、見たのは文字ではなくおそらく写真。

そして、イクスンがスマホを置く直前の仕草を見る限り、ホン大尉とのメールは一段落して画面を閉じたように見えるので、やはり可能性が高いのは、待ち受け画面の写真…?

以前、イギリスからジュンワンに電話した際に、「私はオッパの写真持ってるから大丈夫よ〜」というイクスンのセリフがあったので、ジュンワンの写真、もしくは二人で映ってる写真だったのかもしれません。
(ただ、待ち受け画面にするのは、イクジュンに見られる可能性もあるので、やらなそう…?SNSの背景画像とか?)

とにかく、この出来事をきっかけに、イクジュンはイクスンがまだジュンワンを忘れていないことに気がついたのでしょう。

深夜バスの再会

そして、8話のラストシーン。前回、「母親の誕生日の為に休みを取る」と言っていたジュンワンに、「イクスンに会いに行くのではないか?」と予想していましたが、さすがにその展開は急すぎでしたね(笑)

ただ、ジュンワンとイクジュンは同じ地元・昌原の同級生なので、ジュンワンが実家に行く=イクスンの実家&勤務地周辺に行くとなるわけです。

昌原は朝鮮半島の南で、釜山の隣あたり。韓国の新幹線であるKTXに乗っても3時間弱かかり、ソウルへの最終は21時台です。

それを過ぎてしまうと、あとは深夜バスのみ。

タクシーの中で、今から乗れる一番早い深夜バスの予約をイクジュンに頼むジュンワン。

この瞬間、イクジュンは「平日ソウルに向かう時は深夜バス」と言ってたイクスンの言葉を思い出し、とっさに二人が偶然に出会えるように、わざとイクスンと同じ便を予約したのでしょう。

「一番早い便はいっぱいだ」と言っていたイクジュンですが、平日(火曜日)の24:00近くに昌原のソウル行きの深夜バスに乗る人がそんなにいるはずがなく、実際ジュンワンが乗ったバスに、他に乗客が誰も居ないのを見ても、「その前の便がいっぱいだった」というのは嘘だったということを物語っています。

そして、二人の再会の瞬間…!

目をつぶっていたジュンワンですが、おそらく匂いでイクスンだとわかったのではないでしょうか。(匂いは香水?もしくはパクチー?)

他に誰も居ないバスで、顔を上げていたジュンワンにイクスンが気が付かなかったほうが驚きましたが、まさかこの時間に自分の地元でジュンワンに会うとは想像していなかったのでしょう。

イクスンが昌原に向かう早朝のソウル駅で、ジュンワンが「オッパと恋愛しよう」と言って付き合った二人は、昌原からソウルに向かう深夜バスで再会することに。

4話で、ドラゴン先生と喧嘩して2週間も会っていないというソンビンに、ソンファが

二人に別れる気がなければ、そのうちきっかけができるの

と言った言葉が、ここにも繋がっていました。

9話の予告を見ると、ジュンワンが「会って話がしたいんだ」と電話で話しているので、結局このバスでは十分に話ができず、後からまた会うことになるのでしょうか?

どうか、どうかジュンワンの幸せそうな姿が早く見られますように…!

CULTURA「賢い医師生活」特集:内容はこちらで紹介

「賢い医師生活2」8話バンドシーン

先ほどロサに関するところでも、バンドシーンについては、紹介しましたが8話で演奏された曲は、1990年に発表さらたキム・ヨヌ(김연우)の「相変わらず美しいのか(여전히 아름다운지)」という曲。

今回、SEVENTEENがカバーしています。

僕は変わった 前ほど笑わないし
ちょっと痩せた 君と居た時より

という歌詞は、ジュンワンの今の状況を表しているようで、切ない…!

「賢い医師生活2」9話予告

9話の予告を見ると、4月になり、誕生日にいよいよボーカルの機会がやってきたソンファ。そして、待ちに待っていた謎の卓球大会!?

来週も楽しみです!

最後に

というわけで、「賢い医師生活シーズン2」の8話について考察をしてみました…!

なお、解釈はあくまで勝手な考察(ある意味妄想)なので、もちろん、これが正解というわけではありません(笑)

みなさんそれぞれが、作品を深く理解するきっかけになったら嬉しいです!

それではまた、9話の記事でお会いしましょう〜!

9話の記事はこちら

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*画像はtvNからお借りしました