「君は私の春」はこんなドラマ!
韓国で2021年7月5日から放送が始まった「君は私の春」。日本でもNetflixで毎週配信されています。
主演は、ソ・ヒョンジンとキム・ドンウク。二人もお似合いだし、タイトル・ポスター・予告編からは、爽やかな大人のラブストーリーという印象を受けて見たのですが…
イメージしたのと180度、違いました!!!(笑)
「君は私の春」1話。事前情報なしに、爽やかなラブストーリーと思ってみたら全く予想しない内容で驚き😲✨そして途中の展開でもさらに驚く。演出が独特で、新鮮な感じも期待できる。ソ・ヒョンジン、キム・ドンウク、ユン・バクなど演技派揃いなのも良い💕
この後、日本でもNetflix同時配信です‼️ pic.twitter.com/fSIiwAtuJK— Misa🌺韓国在住K-dramaライター (@misam34) July 5, 2021
最近、「複数ジャンルの組み合わせ」というのがトレンドですが、今回の作品は、ラブストーリー・ヒーリングドラマのような雰囲気に見せておいて、実はスリラーがメインな作品。
予告編であったこんなシーンは…今のところ全然でてきません!(笑)
でも調べてみたら、韓国のtvNでの予告編と、NetflixJAPANの予告編は180度違うんですね…(笑)
こちらが韓国のテレビで流れていた予告編。
NetflixJAPANの予告編のほうが確かに内容には近いのですが、韓国の方ではタイトルも予告編も、あえて逆の雰囲気を打ち出すという意図的な演出だったのだと思うので、NetflixJAPANの予告編は事前に見ないことをおすすめします。
そして、4話までみたところの感想は、こんな感じ。
毎回、エンディングでの反転が半端ない(毎回「え〜〜〜!!」で終わる)
みんな演技がうまいが、特にユン・バクの演技が凄い。一人で全部持っていってる感じ
全然展開が読めないので、いまのところ「めちゃくちゃ面白い!」とまでは言えないのですが、なんかとにかく新鮮な感じで、うまく行けば大作になるような、そんな予感。
テーマや設定は、決して目新しくないのですが、監督と脚本家の感性が独特で、そういう意味で、派手な作品よりもむしろ、ドラマ好きの人の目を引くような注目作と言えると思います。
(視聴率が高いわけではないのですが、韓国でもドラママニアがこぞって注目しています)
個人的には、セリフの遊び心と独特なセンス、そしてテーマ感が、私の大好きなドラマ「大丈夫、愛だ」に近い感じ。
演出はどことなく「サイコだけど大丈夫」の雰囲気。そして、ジャンルが混じってる感じとメッセージの込め方がなんとなく「椿の花咲く頃」を彷彿とさせる感じがあるな〜と思いながら観ています。
そして、今、4話時点ではスリラーがメインなのですが、後半のほうでは、タイトルや予告編が描いているような温かい世界観が感じられる展開になるのでは?と思っています。
この作品、あらすじについては、あまり詳しく事前に知りすぎないほうが良いと思うので、今回は「企画意図」や制作発表会での作家の発言を中心に、作品紹介をしてみたいと思います。
すでに視聴している方にとっても、作品の世界観を理解する助けになるのではと思います。
「君は私の春」概要・キャスト
「君は私の春」について、本当に簡単な概要とキャストをまずご紹介しておきます。
女性主人公は、ソ・ヒョンジン演じるタギョン。ホテル・コンシェルジュのマネージャーとして働いています。
子どもの頃、酒を飲んでは問題を起こす父親に苦しめられた記憶が、今の彼女にも大きな影響を与えています。その影響か、恋愛でも”クズ男”ばかりを引き寄せてしまうタギョン。
ソ・ヒョンジンは、「浪漫ドクター キム・サブ」「愛の温度」「ビューティー・インサイド(ドラマ版)」などに出演し、女性にも人気が高い女優さん。
個人的には、前作の「ブラックドック」も大好きでした〜!
記事の中で紹介した「ブラックドック」は、まさに「学校版ミセン」という感じでめちゃくちゃリアリティがあり、新人作家と思えない名作でした❗️キャストも安定感のある俳優さんばかり✨
日本ではまだ有料放送で一度やったきり?でほとんど知られてませんが、こういう作品こそNetflixに入れてほしい🥺 pic.twitter.com/0FcxBPHrSM— Misa🌺韓国在住K-dramaライター (@misam34) October 4, 2020
そして、男性主人公は、キム・ドンウク演じ精神科医のヨンド。
人間観察が得意で、ちょっと観ただけで相手の特徴や過去のトラウマなどを見抜いてしまいますが、自身も複雑な過去を抱えています。
キム・ドンウクと言えば、「コーヒープリンス1号店」ですが、
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最近では、主役級で出演し、2019年にはMBC演技大賞の大賞も受賞するなど演技派として認められています。
ちなみにこのヨンド役、最初はユン・ゲサンが演じる予定だったそう…!
前作「チョコレート」も医歯役だったので、避けたのかもしれませんね。
*出典:「チョコレート」HPより/JTBC
結果的には、ソ・ヒョンジンとキム・ドンウクの組み合わせも、すごく爽やかで、二人とも演技力もあるので安心して観ていられます。
そして、4話までの展開で、主役の二人を上回るのではと言うほど注目を集めているユン・バク氏!!どんな役柄なのか?は、ぜひ本編で確かめてみてください!
最近では「産後養生院」など、これまでもいろんなドラマでチョイ役で出てたユン・バク氏。
でも今回のドラマでは、「こんな役ができたの!?」という驚きとともに、演技がすごすぎて初めてイケメンに見えてきた(ファンの方ごめんなさいw)感じで、
韓国視聴者の間でも、大ブレイクしています!!(放送中も「ユン・バクまだ出ないの?!早く!!」というネットの書き込みが多いほど!)
そして、前作「カイロス」で演技力が高く評価されたナム・ギュリも出演しています。
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「君は私の春」脚本・監督情報
「君は私の春」という作品を理解するために、脚本家・監督の情報についても確認しておきましょう。
監督:チョン・ジヒョン(「ザ・キング 永遠の君主」「検索ワードを入力してください:WWW」など)
「君は私の春」企画意図
「君は私の春」の企画意図について、ポイントを説明したいと思います。
企画意図の冒頭は、こんな問いかけから始まっています。そして、内容のポイントを紹介すると…
私達は、それからどれだけ自由なのだろうか?
その、空腹だった、恥ずかしさを感じた、悲しかった7歳の子どもは、自分がまっとうな大人であるかのように見せようとするその影に隠れているだけ、自分が弱った瞬間、再び耳元でささやくのではないだろうか。
「みんながお前を笑うんだ」「結局お前だけが不足している」「お前が役に立たない人間だということがバレてしまうぞ」
ここに、それぞれの”7歳の自分”を抱えたまま生きていく、多くの人物たちの物語を通して、このドラマはあなたに問いかけるだろう。
*
あなたの”7歳”から、あなたはどれくらい遠くに逃げてきたんですか?
*
過去は変えられないが、その過去に、今の私たちが違うように接することはできると。
*
7歳の私を力強く抱きしめてあげて、誤解を解いて、一緒に泣いて、ようやく解き放ってあげることで私たちはもしかしたら、もっと丈夫で幸せになれるかもしれないと。
ということで、7歳の自分=子どもの頃の自分から、今も開放されずにいる大人たちの物語であることがわかります。
”大人の心の傷”を扱い、精神科医が出てくる…という点ではやはり、「大丈夫、愛だ」に共通するところがありますね。
「大丈夫、愛だ」についてはこちらで紹介
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ちなみに、興味深いのがHPでは、主人公二人の「履歴書」も公開されていること。
これってやっぱり、2021年の百想芸術大賞の脚本賞をとったキム・スジン作家の「怪物」の台本集で、登場人物の履歴書が公開されていたの影響を受けてるんじゃないかと思います!
冒頭の作家さんのコメントの書き出しが「登場人物の履歴書を作るのは一種の私の趣味です」「書いておいたのをたまに読み返して、一人で楽しみます。変態ですかね?」って、もう最高🤣✨
こういう作家さんの熱と緻密さが作品の深さを生んでいると改めて感動❗️やっぱり韓国ドラマの強さは脚本にあり👏 pic.twitter.com/zovViNFpuy— Misa🌺韓国在住K-dramaライター (@misam34) May 6, 2021
「君は私の春」イ・ミナ作家:Q&A
「君は私の春」の制作発表会では、脚本を手掛けたイ・ミナ作家が自ら参加し、企画意図について説明していました。(脚本家が制作発表会に参加するのは初めて観ました)
その中で、作品の理解の手助けになりそうな部分を一部紹介したいと思います。
テレビで、60歳近いお年の方が、ご飯をとても必死にたべていらっしゃって、横に居た方が「どうしてそんなに必死に食べるんですか?」と聞いたんです。するとその方は、「あなたは、6人兄弟の5人目の悲しさがわかりますか?」と答えたんです。
その方はもちろん、今は、家計が苦しいとかそういう状況ではないんです。それでも、その子どもの頃の感覚が、60歳近くになった今でも、残っているわけですよね。
ただ、周りを見てみると、誰にでも同じようなことが一つずつあるんです。
例えば「なぜあの人は、あんなに過度に両親の面倒をみるの?」「なぜあの人は全部上手なのに、英語にだけ抵抗感があるの?」…その人の7歳には何があったのだろうか?
私達のドラマでは、誰もが持っている7歳の頃の記憶、誰かにとってはトラウマ…そんな部分を描いて、共感してもらえるではないかと思いました。
これは決して「7歳」に限定しようとしたものではありません。
このドラマの中でも、登場人物それぞれにとっての幼い頃の深い記憶は、微妙に年齢が違います。そして、私達にとってもそうだと思います。
幼少時代が終わる頃、そして学生になり、年齢よりは「◯年生」という形で記憶し始める前。それでいて、深く焼き付いて忘れられない記憶。そんな6〜7歳ごろをイメージしました。
春というのは、一般的にはとても暖かく、治癒になる季節であり、始まりでもあり…色んな意味を含むでしょう。
「君は僕の春だ」という曲から出発したタイトルで、曲の方では「春」とはまさにそのような意味でした。
しかし、ドラマでは「春」は、必ずしもすべてがハッピーになるようなそんなものではないのです。
春というのは、来たと思ったら、また去っていくじゃないですか。春が来たら、また冬も来ることを私達は知っています。
しかし7歳の頃の傷を抱えながらも、一歩踏み出せる大人であるということに気がつけば、春が来て、春が去ってしまっても、生きていけるという勇気が出るのです。冬が来ることを知っていても。
だから、春というのは、人生の中で何度でも私にやってくる「小さな希望」のようなものだと考えたのです。それに、最初はこのドラマが、春に編成されると思っていたんです(笑)
「君は私の春」邦題への違和感
ということで、「君は私の春」という作品の企画意図や世界観が何となく理解できたのではと思いますが、そうしてみると、ますます疑問に感じるのが、この「君は私の春」という邦題。
「너는 나의 봄」 の邦題はどうして「君は私の春」になってしまったのかな🤔?
このドラマはシークレットガーデンのOST、ソン・シギョンの「君は僕の春だ」の作詞をしたイ・ミナ作家の脚本なので、
そのまま「君は“僕“の春」にして欲しかったなあ😭
“나“ は“僕“でも“私“でもあるので難しいところだけど pic.twitter.com/KR8ACXLNJm— Misa🌺韓国在住K-dramaライター (@misam34) July 14, 2021
イ・ミナ作家が自ら話していたように「君は僕の春だ」という曲からつけたタイトルであるということを考えても、そのまま「君は僕の春」でよかったのでは?と思うのですが、日本語としても「君」と「私」という対での使い方に違和感を感じます。
もともと、最近流行りの変わったタイトルと比べても、インパクトが弱めで覚えにくいのに、「君」といえば「僕」を連想してしまうことにより、「君は僕の春」とタイトルを勘違いして検索してしまう可能性も高く、作品の広報(SEOなど)という観点でもマイナスなんじゃないかなーと。(私も最初、「君は僕の春」と思って検索してました)
逆に、ソン・シギョンの曲の方と差別化しようとしたのか?
男性が精神科医、女性がトラウマありという作品概要の情報から「女性の傷を男性が癒やすストーリー」と単純化してしまい、それを表そうと、わざわざ”私”にしたのか。
経緯はわかりませんが、色んな意味で違和感があります。
韓国ドラマの邦題は、作品そのものの魅力やメッセージを大事にすべきと思うのですが、余計なアレンジが入ってしまっている事が多くて残念でなりません。
「君は私の春」視聴率・韓国での評価
「君は私の春」の韓国での視聴率についても紹介しておきましょう。
2話:3.0%
3話:2.7%
4話:3.1%
毎週月・火の21:00〜のケーブル局tvNの放送。もともと同時間帯のドラマも多く、視聴率がそこまで高く出ない枠ですが、それを鑑みても「君は私の春」は決して、ヒット作と言える視聴率ではありません。
ただ、Netflixでも視聴できるので、実際の視聴率は5%ぐらいにはなるんじゃないかな〜と思います。
4話時点でも、まだ「何なに、どういう事!?」という感じなので、視聴率もまだ上がったり下がったりという感じ。
一方で、最初に紹介したとおり、ドラマレビュアーの人たちの間では、「なんかとても興味深い」「面白いドラマになりそうな予感」という注目を集めています。
演出が凄い。セリフもさすが「風船ガム」の作家だから、印象的!!
やっぱりソ・ヒョンジンとキム・ドンウクの安定の演技。
ユン・バクの再発見。もっと出番を増やしてほしい。
最後に
ということで、最近始まった新作の中で最も注目している「君は私の春」の序盤視聴感想・キャスト・あらすじ・韓国視聴率などについてご紹介しました。
後半の展開がどうなっていくか…!?によっては、百想芸術大賞で作品関連の賞(脚本・演出・作品賞)にノミネートされる可能性があるんじゃないかな〜?と思っています。今後の展開に期待!!
気になる方は、Netflixでまずは1話、観てみてください〜!
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*画像はtvNからお借りしました