今日は、具体的に今私が学習に使っている韓国ドラマ「ある春の夜に」の台本の内容をお見せしながら、台本学習の面白さと、具体的な勉強方法、台本の購入方法についてご紹介したいと思います。
そう思っている方にこそ、読んでいただきたい記事です…!
台本の構成
さて、まず台本がどんな構成になってるかをご紹介しましょう。全16話ぐらいの標準的なドラマの場合、台本は大体2冊に分かれていることが多いです。
各話ごと台本はもちろん、前後に台本オリジナルのコンテンツも含まれているんです…!(内容は、台本によって異なります)
例えば、「ある春の夜に」の場合は、最初の登場人物紹介のページがあり、キャストのサインまで!(読者の皆さんへ♡と書いてありますね)
あとほとんどの台本に、作家さんによるコメントがあり、作品に込めた思いなどが語られています。好きなドラマの場合、こういったコンテンツもかなり嬉しいですよね。
ト書きを味わう
台本の中身は、こんな感じでドラマで見たシーンごとのセリフが並んでいます。セリフを勉強するだけなら、動画配信サイトの韓国語字幕でも勉強できるのですが、台本でしか味わえないのがこちらの「ト書き」と呼ばれる部分。
シーンの冒頭のほうには、場面を説明するト書きがあり、各セリフの前後には、その時の登場人物の表情や動きを捕捉するト書きがあるんです。これがとっても味わい深いんです…!
というのも、実際に役者たちが演じる際には、この台本のト書きを見て演技するわけですよね。例えば、この写真の下の囲ったト書きでは、「ジホ:ちらっとみてびくっとする」と書いてあります。
これを実際にチョン・へインがどのように理解し、ドラマではどのように表現したのか?
台本と映像を照らし合わせながら、確かめていくというのがとても面白いんですよね。実際には、現場で監督や俳優たちと意見を出し合いながらアレンジしているので、ト書きとは異なる表現になっていることもあります。
韓国語の学習観点では、このト書きには擬態語・擬音語、教科書では出てこないような形容詞・副詞などが多く含まれていて勉強になります。
ただ、その分、セリフ自体の単語よりも難易度が高いので、私も最初のうちは、基本はセリフだけを勉強し、好きなシーンだけト書きまで理解するというやり方をとっていました。
今は逆に、ト書きをメインで勉強しています。
放送との違いを味わう
そして、台本ならではの味わいがもう一つ。放送ではカットされてしまったシーンや、カットされたセリフも載っていること!台本の最初には、こんな注意書きがあります。
…それむしろ、最高じゃん!!(笑)
私も勉強する際、映像と照らし合わせながらやるのですが、途中で「あれ?この台本のシーンカットされてる」とか、「順番が違う」とか、「台本のシーンの途中からしか放送では使われてない」という部分が出てきます。
ほとんどが、ストーリーに直接関係のないちょっとしたシーンがカットされていることが多いのですが、それでもそんな「未公開シーン」の部分を台本で見つけると、にやりとしてしまいます(笑)
これも、字幕だけでは知ることのできない情報で、台本学習の醍醐味の一つだと思います。
台本勉強法①勉強範囲を決める
では、具体的に台本を使ったおすすめの勉強法について紹介します。その前にまず大事なのが、「台本のどの部分まで勉強に利用するか?」ということ。
というのも、一冊は結構分厚さがあり、「これ全部やるぞ!」と1ページ目から意気込むと、間違いなく挫折します…(笑)
オススメなやり方は、まずは「ここまで理解するぞ!」という自分で範囲を決めること。その時にポイントなのがやはり「自分が好きなシーン」から優先して取り組むことです。
1)主人公2人の幸せなシーンなど(好きな名シーン)
2)主人公2人の会話:1)以外の重要シーン
3)その他、会話が気になったシーン
4)本筋に関係ない雑談・冗談・喧嘩シーン
1)から4)になるにつれて、韓国語の難易度も高くなります。私は今、4)をメインに勉強しているので面白みには欠けるんですが(笑)、その分1)とは難易度が全然違い、知らない単語の宝庫だったりします。
また、勉強するシーンを決めたら、その中での勉強範囲を決めます。
1)まずはセリフだけを対象に勉強する
2)好きなシーンについては、ト書きの理解にもチャレンジする
というやり方がオススメです。先ほどご紹介したように、ト書きのほうが明らかに語彙レベルが高いためです。
台本勉強法②学習の流れ
勉強する範囲を決めたら、私はいつもこんな感じで勉強に取り組みます。
1)まずは台本だけを見て、わからない単語をチェックする。
2)次に映像を見て、台本と照らし合わせる。(この時、日本語字幕は表示しない)
3)台本と映像を照らし合わせてもわからない単語は、最後に日本語字幕を確認する。
→ただし、意訳が多いので、この単語は授業で先生にも確認する
4)すべて意味をチェックし終わったら、映像だけをを見て(字幕なし)意味が頭に浮かぶか確認
5)チェックした新しい単語・表現を使ってノートに例文を作る
6)映像を見ながらシャドーイング
もちろん、全てのシーンで6)までは出来ないので、自分のレベルに合わせてモチベーションが続きやすい範囲でやってみてください。
初めの頃は、セリフの訳を一つ一つノートに書いていたのですが、2つの理由でそれを辞めました。
ドラマのセリフ自体は、そのまま使わないことも多いので、新出の単語で、実際に使いそうな例文を作って覚えたほうが役に立つ
確かに、セリフそのままを覚えて使うと、そういう可能性もあるんですが、実際にはどんな場面で使われたか?までを理解して勉強するので「これはさすがに普通の生活では使わないよね」というセリフは自分で取捨選択ができます。
また、上記の方法は、「セリフをそのまま覚える」というよりは、「台本で単語や表現を学ぶ」というスタイル。
それ以上に、「語学堂の6級の教科書まで勉強しても出てこないけど実際は使う」という表現が豊富なため、台本で勉強することで得られるメリットは大きいと思います。
台本の購入方法
韓国ドラマの台本を購入する方法は2つあります。
まずは、韓国旅行に行った際に、大型書店などで買う方法。教保文庫などの大型店では大体取り扱いがあります。(店員さんにドラマの台本どこですか?と聞くか、端末で検索すれば場所がわかります)
また、日本でもオンラインで購入することができます。こちらのお店では、結構台本の取り扱いが豊富です。
にゃんたろうず:Yahoo!ショッピング
勉強に適した台本の選び方
なお、勉強という観点では、こういったドラマの台本が特におすすめです。
自分が加入している映像サービスで動画も確認できる作品
最新ドラマで、おすすめなものをいくつか紹介しておきます!
初めて台本を購入したのが、大好きなドラマでもあるコン・ヒョジンの「大丈夫、愛だ」の台本。こちらもセリフが素敵で大好きなノ・ヒギョン作家の作品だったのもあって購入しました。
そして、”人生ドラマ”として韓国でも人気の高い「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」の台本集も、2022年に発売されました!
かなり重厚な作りですが、私も大好きな作品なので購入しました。
だた、やはり台本選びで一番大事なのは「自分が好きな作品であること」。全てのドラマの台本が発売されているわけではないので、発売されているものの中からお気に入りのものを選ぶことにはなりますが、是非お気に入りのドラマの台本を一冊手に入れてみてください。
韓国語教材選びのポイント
さて、私が韓国ドラマの台本を韓国語の勉強の教材として選んでいる理由は
「勉強のモチベーション」が一番続くのが好きな韓国ドラマの台本だから
です。韓国語の教材については、色んな人がオススメする色んな教材を試してきましたが、結局大事なのは、「勉強のゴールに合わせること」と「モチベーションが続きやすいこと」の2つだと思います。
特に大事になのが「韓国語を勉強するゴール(目的・実現したいこと)は何か?」に立ち返ること。
私は韓国語を勉強し始めたきっかけ自体が「字幕なしで韓国ドラマを観ること」でした。もう9年前ですが、その当時はTSUTAYAでDVDになるのが待ちきれなくて、字幕の壁さえ超えられたら…!と思って勉強を始めました。
今は字幕なしで観ることができますが、年々凝った設定や、方言などが多くなっている韓国ドラマの進化により、まだ100%理解できるわけではありません。
もちろん、会話や発音ももっと伸ばさなければならないのですが、「勉強して何ができるようになったら一番嬉しいか?」を考えたときに、やはり「ドラマを100%理解したい」と思い、韓国ドラマの勉強のメインをドラマの台本を使うことにしました。
韓国語の勉強においては、単語や文法や発音など色んなジャンルの勉強が必要ですが、そういったジャンル別の勉強をしながらも「自分の韓国語学習のゴールに直結する生の教材」を勉強の中に一つ含めるのがオススメです。
例えば、
K-POPが好きな人:歌の歌詞を理解する勉強
旅行で不自由なく会話したい人:旅行の会話を題材とした教材
など「韓国語ができるようになった自分が実現したいこと」に直結する教材を使うのです。そうすることで、モチベーションが続きやすくなるし、何より「ゴールに対する自分の現在位置」を確かめることができます。
語学は終わりがないので、「ゴールにたどり着くために必要な勉強を優先する」ことが大事。そうすることで最短でゴールにたどり着くことができます。
韓国語でドラマを理解する楽しさ
ということで、韓国ドラマの台本を使った勉強法についてご紹介してきました。
ここまで読んで、「まだ私の韓国語レベルからしたら難易度が高い…」と思った方もいるかもしれません。
私が字幕なしでドラマを観始めたのは、まだ中級になりたての頃。旅行でもまだ受け答えがドキドキしてしまうくらいの頃でした。
もし「字幕なしでドラマが見れたら」と思っている方なら、今のレベルに関係なく、まずは一度見終わった大好きな作品の好きなシーンから少しずつ韓国語を理解するという形で、勉強の中にドラマの台本を取り入れてみることをお勧めします。
100%字幕なしでは理解できなくても、自分のお気に入りのシーンだけでも、字幕じゃなくて実際の韓国語のニュアンスが理解できたら…ドラマの感動は、今感じているのの何倍にもなると思います。
最近は、字幕なしで観た後に、数か月後にNetflixで日本語字幕を確認することが多いのですが、「こんなに日本語訳って意訳なの…?」と驚くことが多いです。特に、セリフが素敵なドラマであればあるほど、字幕で見るとその魅力が半減してしまっていることも多いんです。(大好きな「椿の花咲く頃」もそう…)
ドラマの台本を使った勉強は、韓国語の実力アップだけでなく、韓国ドラマ好きの方がもっとドラマを楽しめるきっかけにもなるのではないかと思います。
是非、一度試してみてくださいね…!
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