「サイコだけど大丈夫」韓国での評価・視聴率・話題になったこと

ソウル在住
ブロガーMisa
Netflixで配信中の「サイコだけど大丈夫」について、韓国現地での評価・視聴率・話題になったことなどを紹介します。(一部ネタバレあり)
なお、「サイコだけど大丈夫」の基本情報については、こちらの記事をまずはご覧ください。(8話放送時点で書いた記事です。)
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「サイコだけど大丈夫」韓国での視聴率

「サイコだけど大丈夫」は韓国では、2020年6月~8月までケーブル局tvNでテレビ放送されました。(放送後1時間で、韓国含め世界190カ国以上でNetflixで同時配信)ということで、まずは韓国での視聴率を振り返ってみたいと思います。

特にNetflixでの配信作品は、もはやテレビの視聴率だけでは人気を測れなくなってきていますが、その波形を見ることで「作品が盛り上がるテンポ」を知ることができます。

まず、最近は10%を超えるとヒット、20%を超えると大ヒットという水準で、最初が6%台というのはまずまずの数字でした。(「愛の不時着」では最初が6%で最終的に20%を超えるというエビぞり現象でした。)最高視聴率は、最終話の7.3%。

「サイコだけど大丈夫」の場合、私の周りの韓国人でも「全部配信されてから一気に見る」という人が多く、実際の視聴率という意味では、プラス2~3%ぐらいあったのではというのが体感値です。

しかし、この波形が示しているように「後半になるまでなかなか数字が上がらなかった」というのが、韓国でのこの作品の評価を表していると思います。韓国での評価を一言で言うと「韓国では話題作ではあったけれども、ヒット作までにはならなかった」という感じです。(この理由は、後ほど説明します。)

「サイコだけど大丈夫」みどころ

「サイコだけど大丈夫」のみどころについては、冒頭に紹介した記事でも書いたのですが、改めてすべて見終わってみて、見どころを整理してみたいと思います。ここから紹介する内容が、私自身もこの作品で評価しているポイントです。

コ・ムニョン(ソ・イェジ)の美しさ

まず何といっても、女性主人公コ・ムニョンを演じたソ・イェジの美しさには、1話から引き込まれます。

放送前に予告やインタビューを見た時点から、「この子はヤバい…」と思っていましたが

予想通り、あのキム・スヒョンを飲み込む勢いで韓国でも注目されました。顔だけでなくスタイルも抜群、そして独特のハスキーボイス。私も序盤は、ほとんど彼女を見るために視聴していた感じでした。

パク・シヌ監督の映像美

今回演出を手掛けたパク・シヌ監督は、美しい映像が得意なことで有名な監督さん。「サイコだけど大丈夫」でも、さすがパク・シヌ監督!というような美しいシーンがいくつもありました。

コ・ムニョンの衣装がただでさえ美しいところに、CGを違和感なく取り入れたカットや、劇中に登場する童話のイラストも印象的で、とにかく「目がお腹いっぱい」というような、美しいカットが多かったと思います。(童話はこわい内容も多かったですが…w)

海外のNetflixのランキングを見ていると、今回、この作品は韓国国内よりも、やや海外のほうが人気が高い印象なのですが、韓国ドラマを初めて見る人や、見はじめの人に「訴求する=最初に見たいと思わせる」という観点では、やはりこの「ビジュアル的訴求が強い」ということは重要なポイントなんだなと思いました。

「サイコだけど大丈夫」登場の童話集

オ・ジョンセさんの神演技

そして、キム・スヒョンの兄・サンテ役のオ・ジョンセさんの神演技…!

韓国では「椿の花咲く頃」で大ブレイクし、今年の百想演技大賞では、「梨泰院クラス」チャン会長、ユ・ジェミョンさんや、「愛の不時着」のピョ・チス役、ヤン・ギョンウォンさんを押さえて助演賞を受賞。

しかし、個人的にはオ・ジョンセさんの演技という意味では、この「サイコだけど大丈夫」のサンテ役が「椿の花咲く頃」のノ・ギュテ役を上回ったんじゃないかと思います。

オ・ジョンセさんについては、こちらの記事もご覧ください

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しかも、オ・ジョンセさん、同クールで別のドラマでにも全く逆の役で出演していました(韓国では、特に助演の場合、同時に二つのドラマに出演したりすることもあるある)撮影はどちらかが前撮りだったのかもしれないけど…すごい!!

「新しい家族・愛の形」の描写へのチャレンジ

そして内容面で言うと、ある意味これまでたくさんのドラマで描かれてきた「愛」「親との関係」「トラウマ」「自分らしく生きること」といったテーマをこれまでにはない切り口で描こうとしたという点がこのドラマの重要な評価ポイントだと思います。

私も、観ながら「作り手が果敢に新しいチャレンジをしている」という意欲を感じました。その点で、非常に意義のあるドラマだったと思います。

そして、特に韓国ドラマを見はじめの方や、海外のファンにとっては、先ほどのコ・ムニョンというヒロインの斬新さに加えて、この辺りの描き方が新鮮に映った点が刺さってるようで、一部熱狂的なファンを生み出している理由だと思います。

どうしてもこの作品では、ソ・イェジとオ・ジョンセさんに注目が行きますが、この辺で素敵なキム・スヒョンの写真も

特に、最終話の描き方は、とても斬新かつ感動的で素晴らしかったですね。良い意味で、これまでの「あるある」を覆し、新しいメッセージを打ち出した内容だったし、きっとこの作品はメインの3人にとっても、大きな意味のある重要な作品になったのではと思います。

「サイコだけど大丈夫」OST

「サイコだけど大丈夫」韓国で話題になったこと

続いて「サイコだけど大丈夫」で韓国で話題になったことをご紹介しておきましょう。

コ・ムニョンのファッション

毎回目を惹いたコ・ムニョンのファッション…!当然ながら、どれも国内外のブランド品ばかりでした。ここまで派手なファッションが似合うヒロインもなかなか無いので、ここぞとばかりにハイブランドの衣装が登場します!(衣装さん、楽しかっただろうな…笑)

例えば、こちらのワンピースはDOLCE&GABBANA…!

こちらは、GIVENCHY。

そしてこちらは、なんと全身ルイ・ヴィトン!!

そして感動的なこのシーンの白いワンピースはCHANELでした。

そして、ウェストが細すぎてCGではないか⁉と話題になったこのピンクの衣装。

こちらは、Netflixオリジナルで配信されている「ネクスト・イン・ファッション」という番組で勝者に選ばれたMINJUKIM(ミンジュキム)という韓国人のデザイナーさんのもの。他にもこちらなども、MINJUKIMの衣装です。

韓国ドラマでは、衣装はこういったブランドとのタイアップがありますが、それ以上に重視されるのが演出的要素。「どの場面でどんな衣装を着るか?どんなヘアスタイルにするか?」ということは、作品の演出の重要な要素として緻密に計算され、心情や状況の変化に応じて、ファッションのカラーやテイストも変化します。

ムニョンは特に、心境の変化によってスタイルが違ったので、そこも見どころの一つだと言えますね。

行き過ぎ?ある場面の描写についての論争(ネタバレあり)

そして良くも悪くもこの「サイコだけど大丈夫」に関して韓国で話題になってしまったのが、3話のシーン。(2箇所)

韓国では、テレビ放送の内容について放送通信審議員会という日本で言うとBPOのような機関が、内容に不適切な点がないか?をチェックしています。地上波よりは規制が緩いケーブル局でも、やはり全世代の視聴者が見る可能性があるということで内容は厳しく審査されます。今回、3話の中で、

1)女性⇒男性へのセクハラと指摘されたシーン
2)男性へのセクハラを正当化すると指摘されたシーン

があり、ドラマに対して「注意」という重い懲戒処分がくだったそうです。青少年視聴保護時間帯の表現としては、適切ではないということのよう。

韓国では、特に「男女それぞれへのセクハラ」という観点では、視聴者の間でもとても議論になりやすいポイントのため、今回もこの点が大きく議論となりました。

「サイコだけど大丈夫」シナリオ集

「サイコだけど大丈夫」残念だった点

さて、最後に「サイコだけど大丈夫」が韓国では「ヒット作」とまでは言えなかった原因について、韓国視聴者の反応+私の感想を述べてみたいと思います。一応、極力ネタバレなしで書きますね。(なお、この作品が大好きで「辛口を聞きたくない」という方や絶対ネタバレしたくない方は、飛ばしていただいて構いません 笑)

序盤のテンポ・共感度

視聴率のグラフにも表れているように、まず序盤のテンポ・共感度の問題が考えられます。

最初はコ・ムニョンの美しさとオ・ジョンセさんの演技が印象的で見るんですが、5話ぐらいまでの間に「新鮮」から「共感」まで持っていく要素が不足していたと感じます。(周りでも、前半で挫折したという人が多かったです。)

その原因はいくつかあったと思ますが、とにかく過去を引きずる主人公たちや、実は幼い頃に縁がある2人といった設定が、設定や見た目は斬新で新しいのに、やや古い印象を受け、共感を妨げていたのではないかと思います。

この点は、放送終了後、中央日報の作家へのインタビューでも実際に質問されています。(ほんと、こういうのストレートに聞く感じが韓国っぽく、視聴者の声を本当によくキャッチしているなと思います。)

Q:序盤は視聴者が多少入り込みにくい設定だったが?
A:劇序盤より簡単に各人物の事情に没入できるように、より緻密に書くべきだったと反省している。

韓国の視聴者と作り手の関係性についてはこちらでも解説

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また、個人的には、物語のポイントとなる展開(二人の距離が近づく、重要な事実が明らかになる)を持ってくるタイミングが、どれも「この展開もう少し早くてもよかったのでは?」と思うことが多かったです。

ドラマを見まくっていると、全体のテンポについても、大体適切なタイミングというのがわかるので、今回はちょっとテンポがもどかしい感じがしました。それもあり、私が「ハマった」と言えたのは、実はかなり最後の最後の方だったのです。。(でも、最後はすごくよかった!!)

助演キャラクター

そしてもう一つは、助演のキャラクター設定が弱かったこと。良い役者さんがたくさん出ていたのにもかかわらず、メインの三人以外は、助演のキャラクターに大きなストーリや、共感ポイントが乏しかったのが残念でした。

最近のヒットドラマを見ると、助演のキャラクターまで魅力的で、視聴者から愛されることがヒットの必須要件。(「椿の花咲く頃」「愛の不時着」「梨泰院クラス」しかり)

しかし、「サイコだけど大丈夫」では、周りのキャラクターは、ほとんど本筋の内容に影響を与えず、どうしてもメインの三人だけをフォーカスした印象を受けました。

出版社の社長と社員の関係性は、コメディではあるもの「さすがにパワハラでは?」と思うようなシーンもあり、ディテールの描き方にも残念な点が見受けられました。

最後の展開について

そして、視聴率のグラフで言うと後半急にぐっと上がっているあたりの最後の展開。見た方は、急に「まさか!」となったあの展開です。あの展開があったことで、韓国視聴者も一気に盛り上がり、リアルタイム視聴が増えたのですが、

話のたたみ方には、議論が沸き起こりました。「説明が足りなくてモヤモヤする」という人もいれば、「描かれなかった部分は本筋ではないから良いのだ」という人も。

もう話数が残っていなかったあのタイミングでは、全てを説明しないというのも一つの選択だと思った一方で、その分もう少し早く、あの展開を持ってきて視聴者を惹きつけ、説明することもできたのではとも思います。

全体的な評価

やはりここ最近は特に全体的に作品のクオリティが上がってきているため、ヒット作になるためには、あらゆる要素がすべて整い、作品全体の完成度が高いことが求められます。

そいういう意味で、みどころに書いたような点は素晴らしかったものの、残念な点もいくつかあった「サイコだけど大丈夫」は誰もが認めるヒット作、とまでは言えない評価だったと思います。(話題作であったのは確かです。)

個人的には、最終話はかなり完成度が高いものだったなと思うし、今後、他のドラマにも影響を与えるような、新しいチャレンジも見られ、その点では評価できる作品だと思います。

「サイコだけど大丈夫」登場童話:本当の本当の顔を探して

まとめ

ということで、「サイコだけど大丈夫」について韓国での評価や話題になったことなどを紹介しました。
これから観る方や、観終わった方の参考になると幸いです。今後、コロナの状況が良くなったら、ロケ地も巡りたいなと思っているので、その時はまたブログで記事にしたいと思います!

「サイコだけど大丈夫」表紙の雑誌


Misa執筆記事

”最旬ロケ地SPOT”のコーナーを担当しました!

*ドラマの写真はtvNからお借りしました