「賢い医師生活」を深く味わう!韓国人にしかわからない小ネタ・パロディ解説②

ソウル在住
ブロガーMisa
賢い医師生活」を見終わった方向けに、ネタバレありで作品にちりばめられた小ネタや
パロディを解説
します!前回に引き続き、第2弾です。
第一弾の記事をまだ見ていない方はこちら
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ソウル在住ブロガー「賢い医師生活」を見終わった方向けに、ネタバレありで作品にちりばめられた小ネタやパロディを解説します!「賢い医師生活」にちりばめられた小ネタの数々今、この記事を読んでいらっしゃる方は、Net[…]

*今回は、内容別に分けているので、話数の順番は多少前後します。

7話-6 車を待つ二人

前回も、7話のネタを解説しましたが、7話はまだまだネタが満載…!こちらの駐車場でのシーン。

このシーンも、日本語字幕では、ネタが打ち消されちゃっていてもったいないので解説!

まず、見てないスキに反対側の肩を「トントン」とするイクジュンに、ソンファの一言。

日本語字幕ではこうです。

何よ いたずらも時代遅れね

韓国語では、実はこう言っています。

何よ、ウンパリなの??いつの時代のいたずらよ?
*ウンパリ=ドラマ「応答せよ1988」の略
このシーンのイクジュンの「トントン」という行動を見ただけで、ドラマ「応答せよ1988」のファンの方は、パロディだと気が付いたかと思いますが、実際にセリフでも「ウンパリニャ?(ウンパリの真似なの?)」と言ってるんですね。
ここは、字幕の長さの関係で省略せざるを得なかったんでしょう…。
(でもウンパリって言ってるかどうか、ファンにとっては重要な情報…!笑)

そして、続いてのイクジュンのセリフも、かなり省略されています。

お前も、ブルートゥースにしろよ

ここは実際には、こう言っています。

じゃあ、あなたは「ソウルトゥッペギ」でいらっしゃいますか?
「ソウルトゥッペギ(ソウル土鍋)*」というのは、90年代の国民的ドラマのタイトル。
*ソルロンタンやさんを舞台としたドラマ
日本で言うと、90年代の代表的ドラマ…「東京ラブストーリー」「ロングバケーション」とかそれくらいのドラマを例に挙げいてるかんじでしょうか。(ドラマの雰囲気は違うと思うけど…)
最初に、ソンファが「ウンパリなの?」つまり「80年代かよ…!」というツッコミをしつつも、今だにBluetoothイヤホンではなく、線のあるイヤホンを使っているのを見て、イクジュンが、

「お前こそ、そのイヤホンは90年代かよ…!」というツッコミをしたわけですね。
さらにここでは、わざと敬語でいっているので、嫌みがこもっているわけです。
短く要約すると、確かに日本語訳の通りなんですが、こうやってひも解くと少し味わいが違いませんか…?
ちなみに、そこにソッキョンがやってきて、イクジュンの首を引っ張って、サッとしゃがみます。
これも「応答せよ1988」のパロディですね。

7話-7 車でやってきた二人

そして、そこに車に乗ったジュンワンとジョンウォンがやって来るシーン。窓を開けたジュンワンの一言。

おい、乗れよ

これに対して、ソンファが

金持ちのおぼっちゃま?

ここ実際、韓国語ではこう言っています。

「おい、乗れよ(韓国語でヤ、タ~)」
「あら、オレンジ族でいらっしゃいますか?」

ココにも実は、歴史的なネタが含まれています。

まず、ジュンワンの、高級車で乗りつけて、乗ったまま外の女性に「おい、乗れよ」というのは、90年代半ばに狎鴎亭(日本で言うと銀座的なところ)などで流行したナンパの手法で、ヤ・タ族と呼ばれたそうです。
(「おい、乗れよ」の韓国語の発音が"ヤ、タ~”なので)

また、ソンファが言っている「オレンジ族」というのも、同じような意味で、その時代にナンパなどを繰り返していた富裕層の若者たちをさす言葉。日本のバブルの時代とかと似た感じだとイメージすればよいのではないでしょうか。
そして続けて、ジョンウォンが、
お坊ちゃまって歳か…?
といい、ソンファが笑っていますが、ここも実際には「こんなに老けたオレンジ族、見たことあるか?」と言っています(笑)

5話 早朝の告白

続いて5話。こちらは、ネタと言うよりは、日本語字幕だと雰囲気が変わってしまっている部分。

イクスンの忘れ物を届けに、早朝会いに行くジュンワン。チョコを分けてあげようとするイクスンの手を突然つかんで、

告白したっけ 付き合おう

となっていますが…うーん、これはちょっともったいない…!

韓国語では、直訳するとこうです。

俺が 好きだと言ったんだけっけな?
オッパと恋愛しよう

オッパは、女性が年上の親しい男性に対して呼ぶ言い方で、日本語では「お兄さん」と訳されることが多いですが、ぴったりくる日本語がない感じ。

ここでは、友人の妹として親しいので、ジュンワンが自分自身のことをオッパと呼んでいます。
おそらく、「オッパ」のニュアンスを活かした訳が難しく、その部分は省略したのではないかと思います。

ただ、このセリフはやっぱり、普段は冷静・冷徹に見えるジュンワンが、自分のことを「オッパ」と言いながら、「恋愛しよう」というところがキュンとくるポイント。

なので、「付き合おう」だと、そのニュアンスが活かされておらず、ちょっともったいない感じがします。

せめて「俺と恋愛しよう」ぐらいだったらニュアンスが近いのにな~と思います。
ここは、チョン・ギョンホ自身も、そしてチョ・ジョンソクも「好きな場面・名セリフ」として挙げており、韓国の視聴者の間でも、とてもキュンとくる言い方として印象的だったシーン。

ということで、是非、実際のニュアンスを知っていただきたいと思いご紹介しました。

意外と、こういうキュンとするシーンの一言が、韓国語としては難しくないんですが、ニュアンスが活かしきれない訳になってしまっていることとが多いなと思います。(「椿の花咲く頃」でもそうだったんですが…)

韓国語学習者の皆さんは、こういうキュンとなるシーンは、ぜひ、韓国語のほうにも耳を澄まして聞いてみてもらえたらと思います。

韓国語学習者向け

10話 ジョンウォンの一言

そして、同じようなシーンがもう一つ。
10話で、イクジュンとギョウルが話していたところにやってきたジョンウォンの一言。

思いがけず、ギョウルが居たことに驚いた顔で、

 ギョウルか?

ここは、Twitterでフォロワーさんからご質問頂き、この日本語訳になっていることを教えていただきました。
実際は「アンニョン」と言っていて、名前は呼んでいないんですよね。

ただ、日本語字幕では、その後のイクジュンとのやりとりも「あれ?今、”ギョウル”と?」「俺が?いや」名前を呼んだ前提の会話になっています。

実際の韓国語を直訳すると、こんな流れです。

アンニョン
「ちょっと待て、お前、今、”アンニョン”って言った
「俺が?いや」
”アンニョン”って、タメ口だったってば」

ここで大事なのは、ジョンウォンの言い方がタメ口だったということ。

「アンニョン」は、本当に親しい間柄で気軽に挨拶する感じで、日本語で言うならば、単に「おはよう」というより「おはよ!」「よっ!」ぐらいなニュアンスでしょうか。

ここで、ジョンウォンはギョウルより先輩になるので、立場的には、後輩に対してタメ口でもよいのですが、99ズの前以外では、いつも丁寧語で話しているジョンウォンが突然タメ口だった、というのがこのシーンのポイント。

「アンニョン」は、イクジュンだったら、後輩にそう挨拶してもおかしくありませんが、ジョンウォンのキャラで突然言うと、「ん?今日何かいいことあったのかな…?」「特別相手と親しいのかな?」という感じになります。

9話 韓国人も検索した新語

続いては、韓国人の中でも「これ、どういう意味?」と放送後、話題になった9話のシーン。

悪名高き、チョン教授が資産家と結婚するという話を聞いて、ギョンホが

(チョン教授は)とんでもなく たちが悪い

悪党(ピルラン)だ

ここは、「悪党」に「ピルラン」とフリガナが付いていましたね。それを聞いたソンファが、

何それ?

最新のことには、ちょっと疎い、ソンファのキャラクターが表現されています。これに対して、イクジュンが、

いい人だ 頼んで(ピル)走る(ラン)

ここも、日本語に無理やり韓国語読みの音がフリガナとして付けられていましたが、日本人には何のことやら…?と違和感が残ったのではないでしょうか…。(イクジュンが、適当に違う説明をしたのはわかりますが…)

実は、ピルラン(빌런)という単語自体が、韓国人にとっても、わかる人にしかわからない、割と最近の言葉。
(だから、ソンファ先生もわからなかったんですね。)

放送後、NEVERで「ピルランとは?」というワードが、検索キーワードランキング上位に上がりました。

これ実は、韓国語ではなく英語。villain(意味はそのまま「悪党」)。
英語の発音については、日本語の読み方とビミョーに違うものが多いんです。日本語だと「ヴィラン」。

villainというタイトルの映画をきっかけに、映画「ジョーカー」のような悪党がメインの映画を、「ピルラン映画」というジャンルで呼んだりするそうです。なので、映画マニアの間などで使われ始めた言葉で、必ずしも誰でも知っているわけではない新語。

ちなみに、イクジュンの後半の説明は、それをわざと韓国語のピル(=祈る)・ラン(=RUN)と、適当に説明しているわけです。

12話 新婚夫婦の肝移植

最後に、最終話・12話で登場したシーン。こちらは、韓国社会の結婚事情が垣間見れるシーンでした。

夫が肝移植が必要となってしまった新婚夫婦

結婚式は4か月前に挙げたものの、婚姻届けを出しておらず妻からの移植ができません。

「今日すぐにでも提出します…!」という妻ですが、韓国の移植のルールでは、臓器売買を防ぐため、婚姻届け提出後1年経過しないと、移植ができません。

母親によると息子の肝硬変が見つかったため、両家が結婚を反対し、結婚式を挙げたもののの、婚姻届けは出さなかったとのこと。

このシーン、この夫婦だけの特別な話のように見えますが、婚姻届けの提出については、日韓の微妙な習慣の違いがあります。

日本では、結婚=まず入籍で、結婚式を後に挙げるケースが多いと思いますが、韓国の特に最近の若い世代は考え方が逆。

結婚=まず結婚式という感じで、入籍は後にするケースが多いそうです。

周りの韓国人にも聞いてみたところ、こういう考え方の人が多いよう。

結婚しても、すぐ離婚するかもしれない。戸籍に離婚の記録が残るのも嫌なので、1年ぐらい経過して大丈夫だったら入籍する
離婚手続きが煩雑なので、本当に大丈夫そうだったら入籍する

つまり、このシーンの夫婦は、夫に病気があって…という事情があったわけですが、そうでなくても「最近結婚式を挙げて一緒に暮らしているけど、入籍はまだしていない」夫婦は結構いるということなのです。

聞いたところによると、昔は韓国も入籍が重視されたようですが、合理的で現実的な最近の世代は、このような傾向があるそう。

ちなみに韓国では、日本と違って結婚式も上げていないのに、一緒に暮らす(=同棲)ことはなく、式を挙げてみんなに認めてもって初めて、一緒に暮らし始めるんだそうです。

個人的には、これ、とても日韓それぞれらしい違いだなあと思いました。

「形式」や「社会的な証明」が大事な日本は、入籍を重視。

逆に「確実になってから入籍をする」というのは、今の韓国の若者らしい合理的な考え方だし、「結婚式が重要」というのも「周りの人に披露する・祝ってもらう」ことを大事にする韓国らしい考え方だなあと思いました。

似てるようで違う、日本と韓国の違いが垣間見れるシーンでした。

【2020年最新版】韓国ドラマで学ぶ韓国の歴史

作品のパロディについて

さて、「賢い医師生活」には、様々な他作品のパロディも散りばめられています。解説しようかと思いましたが、映画作品などについては意外と、日本語字幕で説明されていたところが多かったので、ここでは1つだけ。

8話で、やけどしたイクジュンの指をぐるぐる巻きにしてしまったソンファ。

これじゃ「けろっこデメタン」だ

「けろっこデメタン」↓は、日本のタツノコプロ制作のアニメですが、韓国でも 개구리 왕눈이 というタイトルで1973年に放送されました。

ソンファが去った後に、イクジュンが笛を吹く様子はまさにこれですね。


出典:NAVER

世代的にはわからない方もいらっしゃるかと思うので、補足しておきます。

なお、「賢い医師生活」を見ていて、映画のパロディや引用が、とても多いと感じませんでしたか?

私は、これを見て「韓国人にとって、映画がとても身近なものである」ということを改めて感じました。

2019年度の韓国の年間映画観客動員数は、日本の1.9億人より多い、2.2億人。
韓国の人口が日本の約半分であることを考えると、いかに韓国人が映画をよく見るか、がわかると思います。

韓国で発売された「賢い医師生活」OSTは日本でも購入できます!

まとめ

ということで、今回もすごいボリュームになってしまいましたが、楽しんで頂けたでしょうか…?
他にも細かく探せば、色んなネタがあるのですが、一旦ここまでにしたいと思います。

こうやってみてみると、「賢い医師生活」って本当に奥深い作品ですよね。

どこまで行っても、ネイティブと同じレベルでは理解できませんが、実はネタがたくさん隠れている、というということだけでも伝わったら嬉しいなと思います。

ちなみに、まだまだ「賢い医師生活」について、紹介したいネタはたくさん。

引き続き、シーズン1で残された謎の整理や、99ズのバンドの練習秘話、ロケ地などについても、順を追って紹介したいなと思っています。次の記事まで、しばしお待ちくださいね…!

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