「愛と、利と」レビュー①韓国視聴者の反応・ドラマ結末の考察

韓国ソウル在住
ブロガーMisa
「愛と、利と」について、これら観る方向けの簡単な作品紹介と、観終わった方の「もやもや」を解消するための解説記事です。

「愛と、利と」作品紹介

韓国で2022年12月21日〜2023年2月9日まで放送された「사랑의 이해(邦題:愛と、利と)」。全16話。日本でもNetflixで同時配信され話題となりました。

出演はユ・ヨンソク、ムン・ガヨン、クム・セロク、チョン・ガラムなど

監督:チョ・ヨンミン(「ブラームスは、好きですか?」)
脚本:イ・ソヒョン、イ・ヒョンジョン
原作:사랑의 이해(愛の理解・利害)

原題「사랑의 이해」 には、愛の「理解」と「利害」という二つの意味が掛けられていて、異なる“利害“を持つ人たちが、真の愛の意味を“理解“する話。

いや〜この作品は、内容の評価はさておき、「もどかし過ぎて、文句言いながらもまた観続けてしまうドラマ」だったと言えるでしょう(笑)

同じようなところをぐるぐるまわってるような心理描写をしながら、はっきりとは心の内を描かない演出。

そのくせ、エンディングには「え!」という事件をぶっこんでくる感じが、見るたびにイライラしながらも、結局続きを観てしまう…(笑)

韓国では、「サツマイモを食べてるようにもどかしいドラマ」を、サツマイモの意味の韓国語「コグマ」と表現しますが…

主演のユ・ヨンソクのインタビューでも

視聴者の方々が、序盤は「サツマイモ100個食べるようだ」と言っていたが、後半にはこれが「サツマイモ1000個」になっていた(笑)

と語っていましたが…笑(やっぱり視聴者の反応を俳優たちも観てるんですよね〜!)

韓国の視聴者掲示板の投稿数も凄かった!

同じ視聴率3%台だったムン・ガヨンの前作「リンク:ふたりのシンパシー」と比べても、約10倍の32万件の書き込みが投稿されています。

SNSで感想を共感し合うのもドラマの楽しみの一つである今の時代。

必ずしもいい評価ばかりではなくても、とにかく「人と話したくなるドラマ」というのも、ある意味成功の一つの形なのかもしれないと思った作品でした。

視聴者を刺激しようとする狙い過ぎな演出は気になったものの、ロマンス部分でキュンとさせる・没入させる映像の作り方はとても上手。

そして何より、ムン・ガヨンとユ・ヨンソクの演技が上手だったので、文句言いながらも見続けてしまう作品でした。

大きな事件が起こるよりも、繊細な心理描写が特徴の「繊細系ロマンス」がお好きな方には、心を揺さぶられる作品になるかも知れません。

ただ、本当にもどかしいのは間違いなく、最後は「頑張って完走した自分、おつかれ…」という感じになる可能性も高いので、、、

これから観る方は、心に余裕があるときに、一挙見することをおすすめします(笑)

なお、私は視聴途中からモヤモヤが募り、

「これ、原作とはぜんぜん違うようにアレンジされているのではないか?」「原作の良さが、あまり生かされていないのではないか?」という感じがしていて、それを確かめるため、原作小説を購入しました。

そして、モヤモヤが原動力となり、過去最速のスピードで最後まで読み、

原作とドラマでは、前提の設定がぜんぜん異なるが、起こる事件だけはほぼそのまま
15話・16話はほとんどドラマオリジナルの内容

ということがわかり、原作とドラマはもはや全然、別の作品というのが率直な感想。

なので、実は、原作を読んでドラマ自体の理解が深まったというより、「あ、これをああいうふうにアレンジしたから、なんか違和感あったんだ」ということがわかった感じでした。

ということで、この後は、最終話まで観た人向けにネタバレありで
1)ドラマ「愛と、利と」に対する考察・韓国での反応
2)原作小説「愛の理解(利害)」の概要・ドラマとの違い
という形で、紹介していきたいと思います。(この記事では、1)を紹介します)
これから観る方は、またドラマ観終わったら戻ってきてください〜!
あくまで個人の解釈であり、これが正解というものはありませんが、モヤモヤを解消するのに少しでもお役に立てば嬉しいです。

「繊細系ロマンス」などジャンル分類・おすすめ作品を紹介してる著書

「愛と、利と」韓国視聴者の反応

「愛と、利と」は韓国ではどんな評判だったのか?

最高視聴率は3.6%で、ずっと2〜3%台だったので、ヒット作といえる視聴率ではありませんでした。

ただ、先ほど紹介したように、視聴者掲示板の投稿数も多く、とにかく話題性は高かった作品。

前半は「コグマ100個!」と言われながらも「視聴率低いけどウェルメイドドラマ」という評価もあり話題性を集め、

後半は「コグマ1000個!」と言いながらみんなツッコミで盛り上がってる感じでした(日本と同じですね 笑)

盛り上がった視聴者掲示板

私は、15・16話はリアルタイムで掲示板見ながら視聴していたのですが、もうドラマ以上に書き込みが面白かった!!!

ここで、そのいくつかを紹介したいと思います。
みなさんも、これを見てスッキリしてくださいw
*NAVERの書き込みの一部を翻訳

15話、サンスが砂浜に現れたあのシーンで…

逃亡者とストーカーだよ(ぶるぶる…)
精神病者たちよ、、早くドラマ終わらせよう…
まじで病院に行こう、サンス…
いやほんとに、特に15話で、サンスが酔ってスヨンの実家の統営まで行くシーンは、、冷静に見ると「ストーカーと逃げる女」。(ここ、何度見返しても笑ってしまう・・)

砂の城に現れる影…恐る恐る振り返ると、サンス!!!(怖w)

〜サンスのテーマ:Miracle流れる〜

近づくサンス、後退りするスヨン。

サンス「また、逃げるのかよ?何で急に、消えたんだ?どうして!!」

動揺するスヨン。

スヨン「どうして…ここがわかったの…?」
サンス「今、それ重要か?!!」

いや、けっこう重要だよ(笑)

ユ・ヨンソクの演技は素晴らしいんだけど、これめちゃくちゃ怖い!!!BGMを変えたら、普通にスリラーです(笑)

さらに、その後の民宿でもシーンでも、

スヨン「怖かったの。突き放しても、またやって来るし、いくら逃げても、探し出しちゃうから」

これも普通にストーカーから逃げる女の発言w

みなさんも、ここスリラーだと思ってもう一度見返してみてください(笑)

16話、やっと再会したサンスとスヨン

どうせ明日、また消えるよ
”サム”(いい感じの関係)をもう5年もやってるよ…

早く話せ、もどかしい!!!
そうだね、もうやめなさい 観ている私たちも疲れた…

もう、うんざりだ…
不倫でもないし、不治の病にかかったわけでもないのに、何でそんなに難しいんだよ…
息苦しすぎて、半袖に着替えた
今日で私たちもやっと解放だ!!!

コメントが面白くて死にそうですwww

「2話分の話が16話分になる」の理解
ドラマテーマ「迷うな、4年かかる」

16話、ラスト「あの時〜しなかったら」のセリフ

もし私がこれを視聴しなかったら…
このドラマの1話を観てなかったら…

とんかつは、食べて終わろうよ
お願いだから、手でも握ってくれ

私たちが、このドラマを”忘却”しなければならないようです
誰かがこのドラマを見るって言ったら止めないと…

信用協同組合の口座を解約しよう…
サンスよ、君がためらった代価が大きすぎる…
これを最後まで見た人たちに拍手を!

…15・16話は、9割ぐらいこんな書き込みで盛り上がってましたw

ちなみに、このドラマの舞台KCU銀行のモチーフであり、ドラマの協賛だったのは信用協同組合。

実は、「賢い医師生活」でユルジェ病院内にあり、ユ・ヨンソク演じるアン・ジョンウォンが積立をしていたのも同じ信組が協賛でした。

信組といえば、このおんぶ人形がキャラクター!

ドラマの間のCMにももちろん、信用協同組合が何度も登場。

そして、15話での突然のミギョンの海外行きは、展開もさることながら「え、信用協同組合にワシントン支店ってあるの???笑」というざわつきが起こっていました。

韓国視聴者が注目したポイント

ブーブー言いながらも話題になっていたのは、日本も韓国も同じなのですが、日韓の視聴者の反応を観ていて、一つだけ違った点があります。

それは、韓国ではやはり、社会の中での”階級差”を描いているという点が、リアルだ・共感できると評価されたこと。

この作品においては、登場人物たちの社会的地位・家庭環境の違いが、とても強調されています。

ドラマでも象徴的なのがこの2つのポスター。左側の階段は、4人の社会的地位の違いを階段で表しており、右側はストラップの色と高さの違いで表現しています。

ミギョンとサンスは一般職の正社員。スヨンはサービス職の契約社員。ジョンヒョンはアルバイトです。

スヨンは、何度も一般職の正社員登用試験を受け、ついに合格して青いストラップの社員証を手に入れたタイミングで、銀行を辞めてしまいます。

なお、日本語字幕では、スヨンが望んでるのが「転属」と訳されていましたが、それだとなんだか、単に「別の店舗への異動希望」みたいな感じもしてしまうのでは?と気になりました。

韓国語では、「職群転換」と言っているので、職種変更、正社員登用、一般職を希望とかのほうが言語のニュアンスがつたわりやすかったのではと思います。

また、3話では4人がそれぞれコーヒーを飲むカットででも生活水準の違いを表現しています。(こういうのは映像だからできる表現で、すごく良い!)

ミックスコーヒーを飲むジョンヒョン
コーヒー豆からフィルターでコーヒーを淹れるスヨン
カプセル式のコーヒーマシーンでコーヒーを作るサンス
カフェにあるような本格的なコーヒーマシーンでコーヒーを飲むミギョン

その他、高卒のスヨンはいくら能力があっても正社員との間には大きな壁があることが、何度か描かれたり…

日本ではやはり「ラブストーリーがどうなるの?!」というところが注目されていましたが、韓国ではむしろ、「ラブストーリーは典型的だけど、階級社会の描き方がリアルで良かった」という声を多く見かけました。

「愛と、利と」が描いたもの

「利害」とはなにか?

原題「사랑의 이해」 には、愛の「理解」と「利害」という二つの意味が掛けられていますが、正直「愛の利害」については、「わかるような、わからないような…」と思った方が多かったのではないでしょうか。

韓国語でも「愛の利害」という言い方はあまりしないので、とても文学的な言い方です。

「利害」とはつまり、利益と損失。

先ほど紹介したように、社会的な立場が異なる4人にとって、それぞれ得たいもの・失いたくないものは違います。

ドラマは、企画意図にかかれているように、異なる“利害“を持つ人たちが、真の愛の意味を“理解“する話。

一方で、原作は、彼らの異なる”利害”が、もっと直接的に恋愛にも影響を与えます。

つまり、原作小説は、まさに「愛」と「利害」が交差する話なのですが、ドラマは、あくまでラブストーリーを中心にアレンジされており、”利害”はあくまで背景程度。

スヨンとサンスの関係を中心として、「愛の理解」の方に比重が置かれています。

なので、ドラマを見て”利害”の部分がモヤッとするのは当然。

特にドラマオリジナルの内容である15・16話については、「愛の理解」というテーマ感で観たほうが理解しやすいと思います。

4年後の二人の”変化”

原作の内容は後で詳しく説明するとして、まずドラマ「愛と、利と」が描いたものを明らかにするために、15・16話の内容を中心に振り返ってみたいと思います。

4年経ってまたまたMiracleな再会を果たした二人。

ここまで明らかにされなかったスヨンのサンスへの気持ちが、サンスとの想い出の場所の絵であふれるカフェを通じて、はっきりと描かれます。

この点も含め、4年後のシーンは、サンスとスヨンの”変化”が強調された演出が多いなと感じました。
その意図をはっきりと感じたのが、忘却の丘でのこのセリフ。

スヨン「あの時、もし違う選択をしてたらって想像してみたことある?」
サンス「深く愛したほうは 未練なんかない」

そして、この後のサンス、スヨンのセリフをよ〜くみると違いがあります。ここ、字幕だと違いがわかりにくくなってるのですが、直訳するとこんな感じです。

サンス「あの時、別れた後、毎日そんなことを考えていた時期もあった」
スヨン「たまに考えるわ」
つまり、サンスは過去形、スヨンは〜ing。
4年経った今も、過去の選択を後悔しているのは、深く愛したサンスではなく、愛と向き合えなかったスヨンのほうだということを強調しているような演出が各所にありました。
サンスとの想い出の場所がつまったギャラリーカフェや、サンスのようにタバコを吸うスヨンの様子など。
一方、すでにタバコをやめていたり、なにか吹っ切れたような感じのサンス。
願いが叶わなくても、全力で愛したサンスは、少し愛を理解し、自分を理解して成長したのかもしれません。

愛の「理解」

どうして4年前、統営でサンスと別れた後、スヨンは連絡を絶ったのか?についても、忘却の丘でスヨンはこう話します。

スヨン「もう私は全部与えたみたいで もう全部もらったみたいで…」

この言葉の意味は、本当に人によって解釈が異なると思いますが…私は、こんなふうに解釈しています。

4年前のこの民宿でのシーンを振り返ってみましょう。

スヨン「私は、あなたにとって”不幸”だったの?」
サンス「いや 変数(ピョンス)だ」

ここでスヨンは、14話でのサンスとのカフェでの会話を思い出したことでしょう。

サンス「”変数(ピョンス)”のない人生 それが幸せだと思ったんだ 昨日より悪くなければ それでいいってね」
スヨン「あなたの名前(定数:サンス)みたいね」

*字幕は「変数のない人生」が「定数みたいな人生」、「変数」が「ハプニング」という訳になっています

サンスは、あくまで「今までは、変数がないのが幸せだと思ってたけど、スヨンという変数が現れて、変わった」と感じているはずですが、マイナス思考のスヨンは、これを「サンスにとって自分は、幸せ(定数)を乱す変数なんだ」と思ったかもしれません。

そして、民泊で、スヨンは初めて自分からサンスにキスをします。

この後、キス以上の展開があったのかどうかは、それぞれの想像ですが…

次のシーンで、サンスが外でタバコを吸っている姿をじっと見つめるスヨンの表情がとても印象的です。

ここでスヨンは何を思っていたのか…

忘却の丘でのスヨンのセリフ

「違う選択をしてたら…と、想像してみたけど、特別なことって何もないのよね」

から考えると、

スヨンが考える「愛」とは、「日常とは違う、何か特別なもの」。

サンスと一線を越えてしまった今、サンスに自分があげられる特別なものは、これ以上、もう無いんじゃないか…

もしくは、タバコを吸うサンスを見て、「特別」な愛が「日常」に変わっていってしまった、ジョンヒョンとの関係を思い出したのかも…。

「明日の幸せ」を探す前に、「今日の不幸」に耐えることで精一杯で生きてきたスヨンは、自分が相手に特別な何かを与えることに自信がなく、相手にも特別な何かを与えてほしいと望むのかも知れません。

そんなスヨンの複雑な気持ちが、「もう私は全部与えたみたいで もう全部もらったみたいで…」というセリフには込められている気がしました。

一方、4年経ったサンスにとっての「愛の理解」は少し違います。

サンス「それが愛じゃないのかな 何でもないことを共にすること」

ここで、スヨンは少しはっとした様子でサンスを見つめます。

自分を犠牲にしてでも、妻と家族を守ろうとした、スヨン父の言葉(15話)を思い出したでしょう。

スヨン父「理解できなくても、ただ一緒に居ること そのことのほうが大事だと思った」

何か特別なことを与え合う以上に、どんな状況でも一緒に居ることのほうが何倍も難しい。

いくら愛していても、理解できない出来事を、理解しようと努力すること。それが、愛なのではないか。

自分が傷つくのが怖くて、愛に向き合えなかったスヨンと、自分が傷ついてでも、誰かを本気で愛したスヨン父やサンスとでは、「愛の理解」が異なるわけです。

愛の「利害」

先ほど紹介したように、本来原作が描いている、愛の「利害」は、ドラマではあまり明確に描かれていません。

しかし、ドラマのタイトルは「愛の理解・利害」のままなので、エンディングでは、この「利害」の部分を表現しようとしているセリフがあります。

またまた最後の忘却の丘のシーン。

その時、僕らは、お互いを愛したんだろうか…
それとも、이해(理解・利害)したのだろうか…

このセリフ、タイトルと同じように「理解」「利害」どちらの意味も持つ”이해”が使われていて、どちらの意味なのかとても解釈が難しいところ。

なお、字幕では「”利害”だと”理解”したのかな」となっていましたが、個人的にはこれは大きな違和感を感じました。

まず、この作品では「愛の理解」と「愛の利害」という2つの意味が込められているのであり、「利害だと理解する」という言葉の関係性はどこにも出てきません。

もし、私がこの部分を翻訳する立場だったら、無理やりですが

その時、僕らは、お互いを愛したんだろうか…
それとも、何かを得たかったのか…

と訳すかな…。

もし、ドラマの内容がもっと「利害」について描いていたとしたら、もっとストレートに「それとも、利用したのかな…」でも良いかもしれません。

ちなみに、英語訳はこうなっていました。

Were we actually in Love or were we blinded by the interest?
(私たちは本当に愛していたのか、それとも利害に目がくらんだんだろうか?)

ただ、そもそもドラマでは「利害」をそこまで描いてないのに、このセリフをぶっこむこと自体に無理があるな、、、と思ったのが正直なところ。
(ドラマ化のひずみが現れてる感じ)

原作にもないセリフだし、ここまでのドラマの描き方で、このセリフはどうもピンとこない。

ということで、これはドラマの内容だけで解釈させるのには限界があるセリフだと思いました。

開かれた結末

結局、サンスとスヨンは結ばれたのでしょうか?

最後のシーンでは、スヨンが忘却の丘で「今日は何を忘れたの?」と聞きます。

サンス「何も…」

これで10話で初めて二人で忘却の丘を登ったときのセリフを確認してみると…

サンス「丘を全部登りきったら、とても大変で何の考えも浮かばなかったから…」
「スヨンさんも、全部忘れて新しくはじめたら良い」
スヨン「私が何を忘れたらいいっていうの?」
サンス「辛い一日」
これを踏まえると、サンスの答えは、「今日は忘れてしまいたいようなことは何ひとつなかった」ということになり、それはつまり、「君との今日ははっきりと覚えている」とも「君との時間を忘れたくない」とも解釈できます。
一方で、スヨンへの気持ちというよりも、あの頃のように、迷って悩んで前に進めなかった自分はもう居ない、というサンスの成長した姿を表現しているようにも思えます。
私自身は、ここは二人の未来というよりも、4年前より強くなったサンス、やっとあの頃の自分と向き合い始めたスヨン、という二人の変わった関係性が強調されたシーンのように思いました。

ちなみに、原作の最後に書かれている、作家の言葉は、こんなフレーズから始まります。

愛が他の感情と違う理由は、私たちを丸裸にしてしまうからではないか

つまり、誰かを愛するということは、「丸裸になった自分と向き合う勇気」が必要

この点については、むしろ原作よりも、ユ・ヨンソクの演じたサンスが、丸裸になりながら愛を理解していく過程をよく表現したのではと思います。

愛を理解しはじめたサンスと、愛する勇気がなかった自分をようやく受け入れ始めたスヨン。
この状態の二人が、ここから新たな愛を始めるのか…
それとも、もうタイムアップなのか…(↓このカフェの名前 わざと?笑)
は、わかりません。現実的に考えたら、サンスはもう次の恋に行ってしまいそうな気もしますが…(笑)
みなさんは、どう感じたでしょうか?

あのシーンの意味は?

なお、「愛と、利と」では、登場人物たちの感情をはっきり描かずに、曖昧な形にする一方で、ところどころに視聴者の興味を引くための”釣り”シーンが仕掛けられていました。

視聴中、友達からも「アレってなに??」という質問がよく届きましたが、同じように惑わされた方もいたのではないでしょうか?

1)9話冒頭:サンスとミギョンの新婚生活シーン
2)12話冒頭:サンスとスヨンのホテルでの密会シーン

これらはどちらも誰かの想像であることが、それぞれ直後のカットを見るとわかります。

1)では、直後にぼーっとソッキョンの結婚写真を見つめるサンスが出るので、サンスの想像。

2)は、直後に「サンスとスヨンが付き合ってるに違いない」とギョンピルと話しながらぼーっとするミギョンのカットになるので、ミギョンの想像。

特に、ホテルのシーンは紛らわしかったですね〜(私はもうこういう狙った演出にイラッとしてましたがw)

二人のラブシーンを増やすために、無理やり「想像」という手を使うとは、、、

ちなみに、あの衝撃のギョンピル事件で、サンスが結局聞かなかった「録音の続きの内容は何だったの?」という声も見かけましたが…
あれは13話の最後に描かれている「これぐらいだったら、騙されると思うけど?」というギョンピルとの会話の部分ですよね。
よくみると、ギョンピルが録音の停止ボタンを押さずにそのままポケットにスマホを入れる様子が、しっかり描かれています。
ちなみに、ギョンピルを演じたムン・テユがインタビューで、自分がこの演出のアイディアを出したことを明かしていました。

(しかしあの、サンスが録音聞かないシーンは、ほんとサツマイモ100個投げつけたかった 笑)

…ということで、この記事はここまで。

続いての記事では、ドラマとの違いを説明しながら、原作の内容を中心に解説したいと思います!

第二弾・原作内容の解説記事はこちら

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韓国ソウル在住ブロガーMisa「愛と、利と」について、観終わった方向けに、原作とドラマの違いを紹介します!★第一弾のレビュー記事はこちら[sitecard subtitle=関連記事 url=https:[…]


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サンスとスヨンが行った「Time's  up!」カフェ=「意外の組合」も紹介↓

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*画像はJTBC公式ページからお借りしました